老後に備えてアパート経営で賃料収入を得られるようにしておこうと考える人は多い。ただ、最近は空室率上昇、賃料低下で赤字経営に陥る物件が増えている。そんな状況下でも金持ち大家さんに仲間入りするための方法がある。
アパート建設に急ブレーキ
015年からの相続税増税により、節税対策目的のアパート建設が急増した。国土交通省の『建築着工統計調査報告』によると、アパートや賃貸マンションなどの「貸家」は2015年度には前年比7.1%、2016年度には11.4%も増えたのだ。それが2017年度は一転してマイナス4.0%と大幅にダウンし、2018年度に入ってからも減少傾向が続いている。
相続対策での建設ニーズが一巡したことに加え、賃貸住宅が増えすぎて、賃貸経営の環境が厳しくなっている点も見逃してはならない。空室が増加して賃料も低下、赤字経営に陥るオーナーが目立つようになっている。それまでは一度アパート経営に成功すると、2件目、3件目と手を広げるオーナーが多かったのだが、新たにアパート建設を行える状態ではなくなっている。
国土交通省も安易な契約に警鐘を鳴らす
実際、住宅生産団体連合会が会員企業の営業所・展示場などの営業責任者を対象に実施している調査によると、賃貸経営者の新規供給意欲は「弱い」「やや弱い」の合計が9割近くに達している。それに加え、各種イベントや見学会などへの来場者数や具体的な引き合い件数も減少傾向が続いている。
そんな中で、賃貸住宅のオーナーとアパート建設会社の間で「家賃保証契約」を巡るトラブルが増えている。アパート建設会社は、オーナーが建設した賃貸住宅を一括して借り上げて家賃を保証する「家賃保証契約」(通称サブリース契約)を実施している。これにより、「10年間は家賃を保証するので、絶対に損はしない」として会社員などにアパート経営を勧めてきた。。
ところが、期待通りにテナントを確保できず、契約から2、3年たった段階で、「賃料を下げてもらわないと契約を継続できない」といったトラブルが続出。そのため、国土交通省は2018年3月に、「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」という声明を出し、安易な契約に警鐘を鳴らした。
大手住宅メーカーでは好調な受注が続く
では、これからの賃貸住宅経営はもうダメなのかといえば、決してそんなことはない。大切なのは、賃貸住宅を建てる場所と依頼先選びだ。全般的に空室率上昇、賃料低下傾向といっても、例えば大手住宅メーカーが建てた賃貸住宅の多くは高い稼働率を維持している。
全般的に厳しい環境のなかで、なぜそれが可能なのか――その理由は単純明快。事前に十分なリサーチを行って、「ここなら採算が合う」と判断できるところからしか受注を受けないからだ。体力のある大手だからこそ、このような選別が可能になる。賃貸住宅専業メーカーのように、無理な受注はしない。事実、大手住宅メーカーの決算資料などを見ると軒並み95%以上を維持し、なかには97%台のメーカーもある。
大手が建てたいと考える場所を選んで建てる
賃貸住宅経営で金持ち大家さんを目指すのであれば、大手住宅メーカーが積極的に賃貸住宅を建てたいと考えるような場所を選ぶのが安心。まずは大手の営業所や展示場を訪問し、じっくり相談すること。そこで、どんな場所なら賃貸経営が可能なのかを聞き、土地を探し、実行に移すようにしてはどうだろうか。
金持ち大家さんへの1歩
大手が「ここなら大丈夫」と勧めるような場所は、決して安くはない。それなりに予算が必要だが、その分高い賃料を確保でき、賃貸住宅経営は安定する。問題は、土地取得や建設費の捻出だ。ただ、大手住宅メーカーが推奨する場所での建設計画であれば、銀行も安心して融資してくれる可能性は高い。もちろん一定の資産的裏付けや会社員としての安定収入などは求められるが、そこさえクリアできれば金持ち大家さんへの道が自ずと開けてくる。
文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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