長く住める家探しで耐震性は必ずチェック

人生100年時代の今、40代で新居を購入した場合、そこにあと50年、60年住む可能性があります。そこで、長く住める住宅を選ぶことも重要です。

長く快適に住める家を選ぶには、「長期優良住宅」の認定を受けた物件を選ぶのが理想です。これは「数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること」「水回りなどの設備・内装のメンテナンスがしやすいこと」「バリアフリー改修や間取りの変更がしやすいこと」など、長く住むために定められた一定基準を満たした住宅です。

中でも重要なのが耐震性の基準。国の住宅性能表示制度で定められた「耐震等級2」以上でなければ、長期優良住宅の認定は受けられません。ちなみに「耐震等級1」が数百年に一度の地震でも倒壊しない強度で、「耐震等級2」はその1.25倍の耐震性があります。なお、マンションはコスト上、耐震等級を高めるのが難しいのですが、免震構造なら長期優良住宅に認定されます。さらに、マンションの場合は自家発電機を備えていたり、備蓄や緊急用の井戸を備えていたりと、防災対策を強化した物件を選べばより安心です。

物件そのものの性能に加えて、場所を選ぶことも重要です。自治体が発行するハザードマップや民間の地盤調査会社が公表している地盤マップを見れば、地盤の強さや災害リスクを確認できるので、より安全性の高いエリアを選ぶとよいでしょう。

自己資金があれば60歳で買ってもOK

現役のうちに住宅を購入するよう勧めましたが、ある程度の自己資金を作れるなら、60歳前後まで賃貸で生活し、子供が独立したタイミングで夫婦二人だけの小さなマンションや家を買うのも一つの選択肢です。現役時代は教育費などを優先して無理に住宅を購入しないという方もいるでしょう。

ただし60歳前後で買うなら、少なくとも購入費の半分は自己資金で賄うこと。そして首都圏なら都心に近い物件か、もしくは郊外でも駅近で、電車1本で都心に出られる利便性の高い物件を選ぶべきです。

シニアが健康に長生きするには、積極的に外へ出て、趣味を楽しんだり、友人たちと交流することが大切です。そのためには、映画館や劇場などの娯楽施設が近くにあったり、仲間と集まりやすい場所が最適です。

特に定年前後で家を買うなら、夫は妻のことを考えて物件を選んでください。女性のほうが平均寿命が長いうえ、妻が年下であれば、夫より10年や20年は長寿の可能性があります。妻が一人になっても趣味を楽しめたり、車が運転できなくなっても買い物に困らない場所を選ぶことは重要です。ぜひ長期的な視点で住まいを選んでください。

山下和之(やました・かずゆき)住宅ジャーナリスト
1952年生まれ。編集プロダクション勤務を経て、90年に独立。住宅、不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・執筆の他、セミナー講師やメディア出演など幅広く活躍中。著書に、『2017‐2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)など。≪取材・構成:塚田有香≫(『THE21オンライン』2018年9月号より)

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