どれを選択するかは結局のところ「割り切り」が必要

このように、2014年にNISA口座で投資した株式については

・今後株価が値下がりしそうならロールオーバーしない
・今後株価が値上がりしそうならロールオーバーする
・含み損を抱えている場合は心理的にロールオーバーする方向に傾きそう

という一応の結論が導き出されます。

でも今後5年間に投資した株式の株価が上昇するか下落するかを現時点で正確に予想することはできません。また、ロールオーバーをするということは、2019年のNISA枠の一部もしくは全部を、2014年にNISA口座で投資した株式に充当することになります。

本当に、2014年に投資した株式を、今後5年間に再度NISA口座で投資してもよいのか、今一度考えてみてください。

2014年にNISA口座で投資して含み損を抱えている株式をロールオーバーするということは、負け戦さにつき5年間の「延長戦」をするのと同じです。

現在までの5年間は、日本株全体で見て株価が大きく上昇した期間です。でも、この5年間に保有を続けた結果、逆に株価が下落してしまうような銘柄をさらに5年間保有し続けて、良い成果が出るかどうかは疑問です。

2018年末で含み損を抱えている株式であっても、あえてロールオーバーせずに売却ないしは通常口座へ移管するという考え方もあります。より魅力的で株価上昇が期待できる株式があれば、2019年のNISA枠でそちらに投資した方がトータルで見て有利になる可能性も大いにあるからです。

もちろん、将来どうなるかは誰にも分かりませんから、現在含み損を抱えている株式をロールオーバーした方が良い結果につながるかもしれません。

でも、分からないことをいくら考えても時間の無駄です。ロールオーバーするかどうかは、割り切って決めてしまうほかありません。筆者であれば魅力的な銘柄ならロールオーバーをし、他にもっと魅力的な銘柄があればそちらを2019年のNISA枠を使って投資します。含み損を実現させたくないから、という消極的理由でのロールオーバーはあまりお勧めしません。

足立 武志(あだち たけし)
足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー
個人投資家の「困った!」を解決する公認会計士。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として個人投資家向けに有用かつ実践的な知識・情報をコラム、セミナー、書籍、ブログ等で提供。株式会社マーケットチェッカー取締役として株式投資スクリーニングソフト「マーケットチェッカー2」の開発にも関わる個人投資家でもある。

(提供=トウシル

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