パナマの法律事務所が作成していた機密文書が漏洩し、2016年4月に国際調査情報ジャーナリスト連合によってその詳細が公表されて世界中が大騒ぎとなった。いわゆる「パナマ文書」で、国家元首を含む世界の政治家や企業経営者、著名人、富裕層が英領バージン諸島、パナマ、バハマ、香港、シンガポールなどといったタックスヘイブン(租税回避地・低課税地)に膨大な資産を隠し持ち、節税を図っていた実態が明るみになった。

その中には、約400に及ぶ日本の経営者や企業に関する情報も含まれていたという。タックスヘイブンにおいて資産を運用すること自体は違法とは言いがたいものの、一部の資産家だけが享受している税金対策行為であるだけに、世界的に批判が高まったのも確かだ。

無論、日本の税務当局も資産家によるタックスヘイブンを通じた課税逃れや税金対策の動きに目を光らせているし、古くから法の整備も進めてきた。1978年度の租税特別措置法改正によって導入された「タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)」がその一例である。

これは、日本国内の居住者がタックスヘイブンに資産管理会社を設立し、その法人名義で資産を所有した場合に、その運用益は個人(法人への出資者)の所得であるとみなすというものだ。資産管理会社が得た利益は出資者の雑所得として扱われ、15.105〜55.945%の累進税率が課される。

本来、個人名義で海外資産に投資して利益を得た場合には一律20.315%の分離課税が適用されるので、非常に重いペナルティーを課していると言えるだろう。しかしながら、依然として一部の資産家は国内だけにとどまらず、海外でも資産管理会社を設立して税金対策を図っているのが現実だ。

目次

  1. タックスヘイブンにあらずとも、海外には有利な税制が少なくない
  2. 大きなハードルとして立ちはだかる「国外財産調書制度」
  3. 海外の不動産を所有するならジョイント・テナンシーに注目を!
  4. 今がラストチャンス!? 税金対策効果が絶大な“築古”の海外不動産

タックスヘイブンにあらずとも、海外には有利な税制が少なくない

資産管理会社
(画像=ZUU online)

いったい、それはなぜなのだろうか? とあるプライベートバンカーはこう打ち明ける。

「たとえば、米国はタックスヘイブンには該当しませんし、課税が厳しい国だという印象が強いでしょう。ところが、現実には税制面の優遇がいろいろと設けられており、日本と比べて富裕層が資産を残しやすい国だと言えます」

トランプ減税が実施され、米国の法人税は日本よりもかなり低い水準にある。もっとも、ここでネックになってくるのは、2017年度の税制改正で「タックスヘイブン対策税制」の適用が強化されたことだ。

「改正前までは、海外で設立した資産管理会社が現地で課される法人税の税率が20%以上であれば、同対策税制は適用されませんでした。しかし、改正後は20%以上であっても、その法人の実態がペーパーカンパニーであると判断されると適用されます」

こう説明するのは、海外での資産運用に強い公認会計士の坂田富雄氏(仮名)だ。米国の法人税は収税も含めた実効税率が20%以上に達しており、焦点は法人として実態があるか否かというポイントに絞られてくるだろう。

たとえペーパーカンパニーであっても、現地の法人税率が30%以上であれば「タックスヘイブン対策税制」は適用外となるが、これでは日本の法人税の実効税率(35%)と大差がなく、あまり妙味が感じられないかもしれない。ただ、日本にはない税制上の特典が設けられている可能性もあり、杓子定規に選択肢から外すのも乱暴かもしれない。

「ペーパーカンパニーではないことを税務当局に納得させるためには、相応の専門的なノウハウが求められることになります。まさに私どもは、富裕層のお客様に対してそういったお手伝いを行っているわけです。また、法人の設立にこだわらなくても、個人で海外資産を所有することで日本では得がたい利回りの賃料収入を得られたり、高い節税効果を享受したりすることも可能です」(坂田氏)

大きなハードルとして立ちはだかる「国外財産調書制度」