2019年4月30日に天皇陛下が退位され、翌5月1日、平成から新しい元号に改められる予定です。どんな新元号になるかも気になるところですが、元号の変更で何が変わり、どのような影響があるのでしょうか。昭和から平成に変わった時のことを振り返り、考えられる変化について考えていきたいと思います。

昭和から平成に変わった時に起きたこと

元号の変更
(画像=PIXTA)

「平成」が始まったのは、1989年1月8日(日)。前日7日(土)に昭和天皇が崩御され、元号選定の手続きがとられました。昭和天皇のご体調が悪化していた前年の88年から、各種イベントの中止など自粛ムードに包まれましたが、平成に改元されてからの日経平均株価は、翌営業日である9日(月)の終値は469円高の3万678円、その後5日間での上げ幅は1,088円となりました。

その年「平成」が流行語を受賞するなど、バブル景気と新しい時代の到来に対する期待感が経済を後押しし、株式市場では情報通信システム業界や娯楽業界が好調で、1989年12月29日の日経平均終値は過去最高値3万8,915円を記録しました。その記録は2018年8月現在、破られていません。

昭和から平成の改元のきっかけは天皇陛下の崩御でしたから、その後の展開は急でした。今回は退位という前もった準備の中で進められるのが大きな違いです。今回の改元では、どんな変化が予想されるのでしょうか。

経済に関して考えられる変化

業績への好影響が期待される業種として考えられるのは、元号を文書などに使うことが多い官公庁や銀行と取引のある印刷業やシステム関連企業でしょう。ほかにも、「昭和」や「平成」を懐かしむCDや雑誌・書籍などのコンテンツを扱う企業が好業績を予想されています。

新元号の発表は即位の1ヵ月前と発表されていますから、手帳やカレンダー業界、IT業界は対応に追われるでしょう。新天皇の即位に対する祝賀ムードに対して各社が迅速に対応できるか。その点が業績に影響を与える可能性はありそうです。

身近な生活の中で考えられる変化とは

行政や企業ではシステムや印刷物の変更の対応に追われることが懸念されています。

運転免許証については、警視庁が2018年8月2日に有効期限の表記を西暦にすることを決めました。官公庁では改元時の混乱を防ぐために、システム上の日付を西暦に統一する方向で討議が進められています。ただし、税や社会保障に関わる行政システムの一部はシステムの変更が間に合わず、改元後も平成を継続使用することが検討されています。

このほかにも、たとえば手帳やカレンダーでは新たな祝日は設けられるのか、期間が短いことから発行量が少なくなるはずの“平成31年硬貨”を手に入れるにはどうすればいいのか…改元に関する話題は尽きません。

また天皇即位の2019年5月1日は祝日にすることも検討されています。もしそうなると祝日法で祝日と祝日の間の日(4月30日と5月2日)は休日になることが定められており、4月27日(土)から5月6日(月)まで10連休になる可能性もあるので、経済効果も期待されます。

2019年に新しい元号となり、その翌年2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。これから数年間のうちに、日本の歴史に新たな1ページが刻まれるような、大きな出来事が予定されており、日本経済がどのように変わっていくか楽しみにしていきたいですね。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)

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