付箋の「貼り替え」が脳を刺激する!
何かの問題に直面した際、どこから着手したらいいのかわからない。そんな混沌とした思考を整理するための最強のツールは「付箋」だと、数々のトップアスリートや経営者のコーチングを担当してきた平本あきお氏は語る。貼って・はがし・動かせる――この特徴を存分に活かして、課題を解決に導く手法について教えていただいた。(取材・構成=西澤まどか)
思考のゴチャゴチャをとにかく付箋に書き出す
人の脳は、一度にいろんなチャンク(情報のまとまり)を思い浮かべます。仕事で抱えている大きなプロジェクトのこと、帰宅途中に買わねばならない日用品のこと、そして将来の夢のこと……。重要度も抽象度も時間軸も別々な、様々なことを一度に思い浮かべています。
このゴチャゴチャした頭を整理するために、最適なツールが付箋です。付箋のもっとも優れている点は、貼り替えて動かせること。そうすることで「不完全」なアイデアに新たな視点・価値観を見出すことができるのです。
例えば、自分のプライベートの旅行についてアイデアを並べてみると、実は仕事とリンクしていたり、将来の目標に近づく行動だったり……、付箋はそんな思考の飛躍をもたらします。これがノートだとすると、一度書いたら、そのアイデアはそこで制止してしまいます。そして、どこに書いたか忘れてしまうかもしれません。ゴチャゴチャしたアイデアは、付箋に書き出すのが一番いいと私は思っています。
付箋アウトプットで自分会議
まずは思いついたことをすべて付箋に書きましょう。キレイに書いたりジャンル分けする必要はありません。むしろ「不完全」な状態でのアウトプットが目的だからです。モヤモヤとした抽象的なことでも構いません。
そして仕分けられるものは、ジャンルごとにまとめます。私の場合なら、「セミナーで話すこと」「フェイスブックのネタ」「買物リスト」などに分けて、A4の紙1枚に集約しています。
かし中には、分類できないものもあります。例えば、「イビサ島へ行きたい」など、今すぐに実現しない目標や、印象的な本の言葉などです。これら「目的のない情報」も付箋なら有用なものにできます。
私は、こうした仕分けがたい情報は永久保存版の「気づきのノート」に貼っています。3カ月に1回くらい「自分会議」の時間を設けて、ノートに貼った付箋を見返してみると、こうした過去のアイデアが貴重な情報源になることもあるのです。付箋アウトプットを毎日の習慣にすると仕事もプライベートも充実するでしょう。