投資先の企業を選ぶ際の新たな指標として「ESG」が注目されています。これはEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス・企業統治)の頭文字をとったもの。企業が環境問題や社会問題に取り組んでいるか、ガバナンス(企業統治)に力を入れているかどうかなどを考慮して投資するかどうか決める考え方で、「ESG投資」と呼ばれています。

ESGが注目されたきっかけ

ESG投資
(画像=PIXTA)

投資先の銘柄を選定する際に参考にする要素といえば、主に売上や利益率などの業績や各種財務情報などが一般的でした。

しかし世界各地で環境破壊や人権に関する問題が大きくなるなかで、それらの問題の解消に積極的な企業への投資を増やし、逆にそうではない企業には投資せず厳しい対応を迫ろうという意識が投資家の間で高まっています。

そのきっかけとなったのは、2006年に国連のアナン事務総長(当時)がPRI(責任投資原則)を提唱したことといわれています。これは、ESG推進を“投資家の取るべき行動”と定義したものです。

その後、2008年のリーマン・ショックなどの金融危機を経て、企業が短期的な利益を過剰に追求することへの批判が高まったこともPRIやESGを重視する流れを後押ししたと考えられます。

ESGが注目されたきっかけ

具体的にESGの内容を見てみますと、EはEnvironment(環境)で、自然環境や生物多様性への配慮や環境汚染への対応、省エネ・CO2排出量の削減努力への取り組みを企業が行っているかどうかを見ます。例えば、自動車メーカーが走行時にCO2を排出しない電気自動車の開発や、飲料メーカーが水源地の保全をする取り組みなどが挙げられます。

SはSocial(社会)で、労働環境への配慮や人権問題への対応、地域社会への貢献を行っているかを見ます。

例としては、メーカーが原材料調達の安定化のため国内外に自社農場を持ち、雇用創出、インフラ・教育施設の整備に取り組むことなどが挙げられます。

GはGovernance(ガバナンス)で、経営の透明性や情報開示、資本効率化に取り組んでいるかを見ます。企業が稼いだ利益を積極的に株主還元(主として配当金)することや、外部取締役や女性管理職の登用などの取り組みが考えられます。

ただしESG投資の趣旨は、「いいことをしている企業を利益は別にして倫理的な視点から選ぼう」ということではありません。「社会的責任を果たしている企業は、長期的に見てリターンも大きいはず」と考えることです。

こうした流れが強まれば、企業はESGに取り組んでいないと投資家から評価されにくくなります。投資家にとっては、企業がESGに取り組むことで長期的に見れば企業価値の向上や持続的成長につながり、その結果としてリターン(収益)を得られると考えられるのです。

日本の年金運用にも「ESG投資」は取り入れられています。「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が運用している資産総額は156兆円(2018年3月末時点)と、世界の年金基金の中でも最大規模です。このためGPIFは、どのような運用を行うのかは市場への影響だけでなく社会に対しても責任があると考え、投資原則を定めています。

儲かっている企業だけが評価される時代ではない

投資することは、企業を応援して明るい未来を創るという社会貢献の一つと言えます。投資をする際に、企業の売上や収益率といった指標以外に、その企業がどの程度社会に貢献しているかが問われる世の中になってきているのです。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:三原由紀(ファイナンシャルプランナー)

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