「IKPOLET法」7つのステップ
犬塚氏が経験の中から編み出した独自の説明術「IKPOLET法」。この七つの方法で、相手が聞きたがる面白くてわかりやすい話ができるようになる!
STEP1 Interest(興味を引く)
相手のメリットやリスク、あるいは意外性や機密性を打ち出して興味関心を引く
興味を持っていない相手に、「この話は聞いておかないと!」と思わせる、最初の「つかみ」の段階。もっとも手っ取り早いのは「欲」もしくは「危機感」に訴えること。その情報を得ることによる「得」、得ないことによる「損」を、短い言葉で知らせるのが効果的。他、「~だと思われがちですが、実はこうなんです」といった意外性、「まだあまり知られていませんが……」などの秘密の開示も、相手をぐっと引きつける。
☆即効フレーズ
「○○ができると、××ができるようになります」
「よくよく考えると、○○って実は××だったの知ってた?」
「今から話すことは、あなたが初めてなんです」
STEP2 Knowledge(相手の知識にアクセスする)
聴き手の持っている知識や認識にアクセスする
相手の知識の度合いを測る段階。話したいテーマに関する簡単な質問を通して、「聞いたことはある」「イメージは分かる」「内容も大まかに知っている」などの知識レベルや、それを「どう思っているか」を確認しよう。ここを押さえれば、相手にわかりやすい言葉・魅力を感じる言葉で説明できる。なお、ここでは事前リサーチも必須。相手の実績や背景、得意・不得意分野などをあらかじめ知っておくと対面後の確認もスムーズだ。
☆即効フレーズ
「○○って、聞いたことありますか?」
「○○について、知っていることを教えてもらってもいい?」
STEP3 Purpose(目的を示す)
相手に分かってもらいたい内容、またはそれを理解する目的を伝える
「なんのためにこれが必要なのか」という意義や目的を明示する段階。脳は、目的が判然としない情報には注意を払わない、という特徴を持つ。なんのために理解するのかを認識してこそ、相手は集中して耳を傾けてくれる。その際は、手段も併せて示すことが欠かせない。「この目的は○○なので、そのためには○○をわかってもらいたい」というふうに伝えることで、相手はここから始まる話を「聞く意味」を、より強く感じられる。
☆即効フレーズ
「そもそも○○の目的は、××なのです」
「○○のために××をわかってもらいたい。そのために今、△△(手段)をやっているんだ」
STEP4 Outline(大枠を見せる)
これから説明するコンテンツの大枠を示し、そのテーマがどの位置にあるかを話す
全体像を俯瞰してもらう段階。これから行なう説明が、どのような全体像のなかのどの部分にあたるかを示すことで、相手は自分の立ち位置を知ることができる。方法は大きく分けて二つ。一分野の中の「この部分」、という示し方と、時系列の流れの中の「この段階」、という示し方ができる。たとえば「Outlineとは、『IKPOLET法』という、説明の黄金フォーマットの一段階です。7ステップのうち、4ステップ目にあたります」は後者の典型例だ。
☆即効フレーズ
「まず、全体像の確認です」
「この○○(部分)は、××(全体)の中のここに位置しています」
「全体の流れの中で、○○はこの辺りです」
STEP5 Link(つなげる)
因果関係や仕組みなど、物事の「つながり」を説明する
相手の知識に、こちらの情報を連結させて「理解」につなげる段階。その方法は主に4つある。「こうなった理由はそもそも」といった因果関係の説明、「こういう仕組みになっています」というメカニズムの開示、複数の例を挙げつつ示す「この場合は必ずこうなる」という法則性の提示、「すでにご存じの○○は○○にも当てはまります」といった既存の知識との連結。相手が納得の表情を見せるかどうか、最大の勝負所と言える。
☆即効フレーズ
「○○(結果)が起こった原因は~」
「○○のように仕掛けたから、××になったのです」
「そもそも、この○○の由来は~」
STEP6 Embodiment, Example, Evidence(具体化、事例、証拠を示す)
抽象的な内容を説明するときは、具体化や証拠の提示をする
より深い理解へと相手を導くには、具体性が必要だ。抽象度の高い話を「○○に例えるなら」と比喩を使って目に見える形に落とし込んだり、「過去の例で言いますと」「実際に起こった話なのですが」などの事実を例示したりするのが効果的だ。真偽が定かでないものに関しても、データや実例を提示して証拠を示すことが必要だ。もちろん、提示する具体例が適切であることが必須。テーマに適った例であってこそ、確実な理解と納得を得られる。
☆即効フレーズ
「具体的に言うと~」
「例えば~」
「○○という証拠があります」
STEP7 Transfer(転移させる)
説明しているものがその場面だけにとどまらず、他でも使えることを示す
「理解」の度合いは、「一応わかった」という表面的習得から、「人に説明できる」「他のシーンにも活用できる」レベルまでさまざま。ハイレベルな理解にまで導ければ、その説明は相手にとって大きな価値を持つ。「ここまでのお話は、この場面でも活用できます」「この仕組みを、○○に置き換えますと……」といった応用例を話すと、理解が深まるだけでなく、相手の発想力や、ビジネスチャンスを広げることにもつながるだろう。
☆即効フレーズ
「この考え方を○○に当てはめてみると~」
「あの時説明した○○の考え方は、実はここでも使えるんだよ」
犬塚壮志(いぬつか・まさし)
(株)士教育代表取締役/コンピテンシー・ブランドプロデューサー
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に25才の若さで合格。駿台予備校時代に開発したオリジナル講座は、開講初年度で申込当日に即日満員御礼となり、キャンセル待ちがでるほどの大盛況ぶり。その講座は3,000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる。「教育業界における価値協創こそがこれからの日本を元気にする」をモットーとし、講師自身の「コア・コンピテンシー」を最大限に生かした社会人向けビジネスセミナーの開発や講座デザイン、テキスト作成などを請け負う事業を興す。予備校講師時代の経験を生かし、自分ブランドを活用した教育プログラムをビジネスパーソンや経営者に向け実践中。また,企業向け研修講師としても登壇し、さらに企業研修そのものをプロデュースするビジネスもスタートさせる。その傍ら、東京大学大学院で「学習環境」をテーマとした研究も行う。主な著書に、3.5万部越えのベストセラーとなった『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、『偏差値24でも、中高年でも、お金がなくても、今から医者になる法』(KADOKAWA)などがある。(『THE21オンライン』2019年1月号より)
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