自律した社員が自然と会社を大きくしていく状態を目指して

太陽ホールディングス,佐藤英志
(画像=THE21オンライン)

――研究開発拠点である太陽ホールディングス嵐山事業所のオフィスエリアや社員食堂を2014年にリニューアルし、製造拠点である太陽インキ製造〔株〕本社の社員食堂も2015年にリニューアルしています。太陽ホールディングス嵐山事業所には、2015年に保育所も併設しました。さらに、旅行費用補助などの福利厚生制度も充実しています。職場環境の整備ために大きな投資をしているのは、なぜでしょうか?

太陽ホールディングス,佐藤英志
(画像=THE21オンライン)

佐藤 付加価値を生み出す源泉は、社員です。社員一人ひとりのちょっとした頑張りやその積み重ねが、大きな違いを生みます。そして、それは仕事に対するロイヤリティから生まれるものですから、研究施設、オフィス、社員食堂、保育所などの職場環境に、積極的に投資をしているのです。

事業をとりまく環境変化に対応しながら、総合化学企業として新たなステージで永続的な発展を遂げていくためには、新規事業の創出に意欲的で、自ら考えて行動できる、「自律型人材」を育成することが不可欠だと考えています。そのためには、「公正な評価・給与」「仕事のやりがい」と並んで、「職場環境」も必要。この三つをバランス良く整えることが重要です。

――「公正な評価・給与」とは、具体的には?

佐藤 まず、総合化学企業を目指す方針を社内で掲げた頃に、平均給与を約100万円上げました。優秀な人材を集めるため、また、一流の会社の社員として自覚を持ってもらうためです。

評価体系も、役職者ではない人については、失敗してもいいので、目標に対してどれだけチャレンジをしたかを重視するように変えました。

――埼玉県嵐山町と提携を結び、地域活動も積極的にしています。その理由はなんでしょうか?

佐藤 嵐山町には、太陽ホールディングス嵐山事業所、太陽インキ製造本社、新事業を担う太陽グリーンエナジー〔株〕という、グループの主要拠点を構えています。

嵐山町は、他の地域同様、人口減少に頭を悩ませていますから、地域コミュニティの一員として、町の発展のために当社ができることを実行したいと考えています。当社が関わることで嵐山町がより良くなれば、当社グループの採用にも良い影響があると思います。

太陽ホールディングス嵐山事業所に併設した保育所は、社員の子供だけでなく、地域の子供も一緒に受け入れています。また、東武鉄道東上線の武蔵嵐山駅前に、地元の食材をふんだんに使うなどの社員食堂のコンセプトをそのままに、一般のお客様に料理を提供する食堂「駅前嵐山食堂」をオープンしました。子供たちに低料金で料理を提供する「子ども食堂」も、月2回、開催しています。

地域での会社の評価が高まることは、社員の評価が高まることにもつながると考えています。これも、自律型人材を育成するために必要な「公正な評価」の一つです。

――最後に、御社が目指している理想の将来像お教えください。

佐藤 ボトムアップで、社員が自然と色々なことを始める状況が理想だと考えています。

「総合化学企業+自律した会社」にすることが社長としての目標です。社員がやっていることを楽しいと思い、会社が自然と成長することを目指しています。

佐藤英志(さとう・えいじ)太陽ホールディングス〔株〕代表取締役社長
1969年、東京都生まれ。中央大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。91年に監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)に入所。99年、会計・財務・税務コンサルティングを行なう〔株〕エスネットワークスを設立。2001年、太陽ホールディングス〔株〕の子会社・台湾太陽油墨股?有限公司監察人に就任。〔株〕有線ブロードネットワークス(現・〔株〕USEN)取締役・常務取締役、〔株〕ギャガ・コミュニケーションズ(現・ギャガ〔株〕)取締役副社長を歴任。08年、太陽インキ製造〔株〕(現・太陽ホールディングス〔株〕)社外取締役。09年、同社取締役。10年、同社代表取締役副社長。11年、同社代表取締役社長。《写真撮影:まるやゆういち》(『THE21オンライン』2019年01月07日 公開)

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