話がすぐズレる人には「共感はずし」で対抗

一方、「噛み合わなくてよい会話」というものも存在します。例えば雑談は、正確に伝えたり結論を出したりする必要がないので、噛み合っていなくても支障ナシ。むしろ噛み合っていないことで「ボケとツッコミ」のような楽しさが出ることもあります。

対して、いわゆる「報連相」や会議での会話は、噛み合わせないと話が前に進みません。

この二つは、「表面コミュニケーション」と「論理コミュニケーション」の違いとも言えます。会話するとき、雑談なら「表面」、仕事上の会話なら「論理」と、頭の中で区別しておくようにしましょう。

さて、自分はそのように心がけていても、相手が両者を混同していることもしばしば。中でも始末に負えないのが、論理コミュニケーションをとるべき場面なのに表面コミュニケーションで来られるケースです。

例えば取引先から依頼を受け、「納期はいつですか」と尋ねたとしましょう。その返答が「いや~今、大変でさ、実は昨日も寝てないんだよ」などの謎フレーズで始まったら、相手は間違いなく、表面コミュニケーションモードに入っています。

このとき相手は、「寝ていない→なぜなら目の前の仕事に追われて忙しいから→そのため見通しがつかない→パッと期限日を言えない」という状態にあるのでしょう。この中で、一番思考が集中しているのは「忙しくて大変」という事実。その部分を事細かに話し始めてしまうのです。

当然、これは質問の答えではありません。こちらとしては迅速に回答を得て話を切り上げたいところ。そこで、「共感はずし」という方法で対抗しましょう。

表面コミュニケーションをとる人は、共感を求めています。「それは大変ですねえ」「そんなに忙しいんですか?」などと、気持ちに寄り添う相づちが欲しいのです。

ならば、それをあえて崩しましょう。方法は簡単、ただ黙るだけでOKです。返事ナシ、うなずきナシ、表情もつけずに、相手の目を見つめましょう。

すると相手は不安になり、語りがスローダウンします。そこでニッコリ笑って、「で、期限はどうしましょう」と言えば万全です。答えを聞き出し、帰り支度をしてから「大変ですねえ、お大事になさってくださいね」と同調すれば、「感じの悪い人」になる心配はありません。