つまらない話を面白くするテクニック・その3

⑥気の利いた返事ができない

相づちに「自分の意見」を付け加える

「○○なんですか?」もしくは「○○なんだよ」と話を振られて「そうなんです、○○なんです」「そうなんですか、○○なんですか」と答えたものの、そこから先に話が広がらずに、気まずい空気が流れる……なんていうことはないでしょうか。これは、「YES」だけ返答しているために会話が止まってしまった状態です。

この答えは、相手の言葉を繰り返しているだけなので、「内容を理解しました」という意味しか含まれていません。会話を広げるために必要なのは自分の考え・アイデアなどの情報です。ですから、相づちをうったあとは、必ず自分の意見も付け加える「YES, and 自分の意見」を心がけましょう。

例えば「最近、夕飯食べてなくてさ」と言われたとして「そうですか、食べてないんですか」だとそこで話が終わってしまいます。「毎日食べてないんですか?」「僕だったら、お腹空いて目が覚めそうです」など、何かしら加えることで相手も次を続けられます。気の利いた返事には決まりがありません。相手が続きを話しやすくするような言葉を付け加えるようにすればいいだけです。

⑦飲み会で話が盛り上がらない

同じ話でもアレンジ次第で新鮮に

飲み会の席で、「なんだか盛り上がらないな」と思っているとしたら、同じ話を何度もしている可能性があります。本人にとってはオハコの話でも、周囲は「またか」とうんざりしているかもしれません。とはいえ、同窓会や昔の職場の飲み会などでは、気がついたら毎回、同じ話がループしていることは珍しいことではありません。数少ない共通の話題であり、居心地の良い無難な話だからです。

確かに人は、同じ話を繰り返し聞かされるのは苦痛ですが、ちょっと視点をズラしたり、流れを変えると新鮮味を感じ、思わず聞いてしまう傾向にあります。例えば、年の瀬によく放送される歴史ドラマ『忠臣蔵』は、ストーリーは誰もが知るところですが、キャストや演出が変わることで視聴者を惹きつけています。 

ですから、同じ話をしてしまうという自覚がある人は、前回とは少し切り口を変えたり、自虐を加えたり、周りに感想を求めるなどしてアレンジを加えて話すようにしましょう。すると、楽しい会話ネタとして「使い回し」ができるようになります。

⑧会話の間の静寂が気になる

「自分のターン」と割り切って話しかける

初対面のときや慣れない人と同席すると、会話が長続きせず、居心地の悪い静寂が訪れてしまうことがあります。意外なことに、話すことを仕事にするセミナー講師にも、ひとたび教壇から下りると口下手になるという人が結構います。これは、相手との間に、どちらが会話をリードするかの関係性ができていないから。セミナーだと話をリードするのは講師ですから、話すモードにスイッチが入りますが、セミナー後の飲み会や懇親会になると、リードの所在は曖昧になるのです。

どちらから話をしたらいいのかわからない状況で、さらに会話の間に訪れる静寂が気になるという人は、会話が途切れたら自分がリードするターンだと割り切って、思い切って相手にいろんな切り口で話題を振ってみましょう。そうすると相手はあなたのリードに身を任せて、話に乗ってきてくれることがあります。まれに、こちらがリードしても、返答があっさりして会話が途切れがちな人もいます。これは相手のもともとのペースですから、会話がなくても別段気にすることなく、相手に合わせればいいのです。

渡辺龍太(わたなべ・りょうた)放送作家
幼少期より内気な性格でコミュニケーションが苦手だったが、アメリカ留学時に受けた、ハリウッド流のインプロの授業がきっかけとなり、気の利いた会話が瞬時にできるように。その後、インプロや心理学を学び、日本人向けの即興力研究に注力。帰国後は、放送作家やアドリブ講師として活躍。著書に、『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術』(ダイヤモンド社)。≪取材・構成:麻生泰子≫(『THE21オンライン』2019年1月号より)

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