スナップ(NYSE:SNAP)

  • 23日大引け後、第1四半期決算報告
  • 売上高予想:3億550万ドル
  • EPS予想:-0.22ドル

人気ソーシャルメディア「スナップチャット」運営元のスナップ(NYSE:SNAP)は、昨年の急落を乗り越え、好調な第1四半期決算を発表する見通しだ。

昨年第3四半期に200万人のユーザーを失ったスナップチャットだが、同年第4四半期にはユーザーの減少が止まった。今年の第1四半期の数字も悪くなさそうだ。投資家は同社を大目に見ているようで、12月の急落から株価は2倍になった。

しかし、株価は過去8日の取引の内6日間下落し、昨日の終値は1.2%安の11.53ドルとなった。

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(画像=Investing.com)

ボラティリティや前向きな予想は刺激的ではあるが、スナップ株は不安定なままだ。もっと悪いことに、同社のマネジメントもそれほど安定していない。スナップチャットは若者や芸能人の間で人気を保ってはいるものの、同社の度重なる失策が尾を引いている。

スナップCEOのエヴァン・シュピーゲル氏の最大の失敗は、アプリをアップデートしたことだ。残念ながら、これは既存顧客には響かなかった。さらに悪いことに、目的だった全体的なエンゲージメントの改善にも失敗した。

その後、主要な経営陣が離脱し、同社の戦略が社内でも納得感に欠けていたことが明るみに出た。10月には戦略チーフのイムラン・カーン氏、11月にコンテンツチーフのニック・ベル氏、そして1月にはCFOのティム・ストーン氏が同社を去っていった。

スナップ買いは早計

混沌とした状況の中、回復の兆しに期待する投資家もいる。スナップの第1四半期の売上高は、同社自身の予測・市場予測をともに上回る見通しだ。前期からユーザー数は横ばいだが、決して減少してはいない。投資家は同社の戦略が功を奏しているとして安堵している。

スナップは、拡張広告ネットワーク、改良された拡張現実(AR)やカメラ機能、新しいビデオゲームやオリジナルの動画番組のリリースをアナウンスした。競争の激しいデジタル広告市場で勝ち残るため勝負に出た形だ。

市場心理は回復したものの、戦略がまだまだ実行途上にあるスナップの株を買いに走るのは早計だろう。第1四半期の決算報告で、驚くべき回復がみられるとは思えない。同社は、ターゲティングに大成功しているフェイスブックのインスタグラムとの激しい競争にさらされている。

リサーチ会社・EMarketerによると、スナップチャットのユーザー数は再度減少する見通しだ。同アプリの米国月間アクティブユーザー数は7750万人で、年初来2.8%減となっている。アプリのアップデートにより、既存顧客が離れた形となった。

同社が仮にマネジメント層の入れ替わりといった試練を乗り越えられたとしても、このアプリの復活にはまだ期待できなさそうだ。特にネックになるのは、潤沢な資金や広告主との強い信頼関係を有するフェイスブック(NASDAQ:FB)との熾烈な競争だ。

総括

昨年の急落を乗り越え、ユーザーエンゲージメントと内部課題を解決して成長軌道に乗っていることを、スナップは投資家に示す必要がある。復活のためには、買う価値がないとの烙印を押される前に、改善への姿勢を継続的に示していく必要がある。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル