企業の役員や従業員、公務員など、給与収入で生活している方。給与明細は毎回じっくり見ていますか?
そこにはさまざまな名目の控除項目があるはずです。所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれ、実際に振り込まれる金額は総支給額の6、7割といったところではないでしょうか。手元に残る割合は多いほど嬉しいものです。そういう意味で、給与収入と不動産収入は、どちらが効率的なのでしょうか。カギを握る社会保険料の徴収について説明します。
給料が増えると社会保険料が増える
会社員の給料は、さまざまな項目が源泉徴収されて支払われます。その中で所得税と並んで大きな存在感を示すのは、社会保険料ではないでしょうか。
社会保険とは健康保険と介護保険、年金保険の総称です。これらの保険料は給与に応じて決まるため、給料が多ければ多いほど天引きされる金額も多くなります。
社会保険料は次のように徴収されます。まず毎年4月から6月までの給料を平均することで、標準報酬月額を計算。その金額に見合った保険料を、その年の9月から翌年の8月までの1年間に支払います。その際、毎月の給料とボーナスは別々に計算します。
例えば、全国の中小企業の従業員が加入する協会けんぽで2019年度の場合、4~6月の平均給与が43万8,000円だとすると、標準報酬月額は44万円。9月以降の健康保険料は毎月2万5,586円(自己負担分。介護保険料がかかる40歳以上の場合。)、厚生年金保険料は4万260円です。
労使折半となる社会保険料の料率は、合わせて30%ほど。月給に対する自己負担額は15%にもなります。それに所得税や住民税などを加えると、天引き額の合計は総支給額の3割から4割にもなるのです。
給与以外の収入があっても社会保険料は増えない
なぜ、わざわざ上記のようなややこしい計算方法を紹介したかというと、社会保険料は「給与」収入に対してかかる、ということを実感していただくためです。
給与以外の所得があると、基本的に所得税と住民税がかかります。例えば競馬で万馬券を当てて100万円を手に入れた場合、確定申告をして税金を納めなければなりません。株式投資で特定口座(源泉徴収あり)を選択していると、売却益が出たときに約20%の所得税・住民税が源泉徴収されます。
しかし社会保険料は上記のようにあくまでも給与に対してかかります。他の所得が増えても、社会保険料は増えません。
不動産収入は効率がよい
先ほどの例で計算したように、社会保険料は額面の給料に対して15%ほどかかります。とにかく手元に残るお金を増やしたいという人にとっては、あまり効率がよいとはいえません。
一方、家賃収入などの不動産による収入は効率的です。たとえ収入が給与を上回ることになったとしても、個人名義で不動産投資を行っている限りは、その収入に対して社会保険料を払う必要がありません。
ただし法人名義で不動産投資を行い、自分に役員報酬を払うと、社会保険料が発生します。
標準報酬月額は多ければ多いほど、将来受け取る年金も多くなります。長い人生を総合的に考えると、社会保険料をなるべく多く納めるのか、それとも現在の手取り額を増やすのか。どちらがいいのかは一概にはいえません。
不動産投資は株式投資やFXなどと比べ、安定して収益を生みやすい資産運用です。給与収入のように安定しており、多くの手取りを残せる方法として有効活用できます。
税金の面から見ても、不動産所得は自分で確定申告を行ういわば「後払い」。先払いとなる源泉徴収よりも「お得感」を感じる人もいるのではないでしょうか。サラリーマンの場合は給与収入以外が年間20万円以下だと所得税の確定申告をしなくてよいというメリットもあります。
不動産投資は手取りが多い「第二の給料」
社会保険料は給与収入の約15%を占めます。人によっては大きな負担と感じるでしょう。不動産投資による収入は安定しやすく、かつ社会保険料が発生しない効率的な「第二の給料」です。資産形成の方法として有効活用してください。(提供:相続MEMO)
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