いよいよ夏のボーナスの時期。三菱UFJリサーチ&コンサルティング社の発表によると、民間企業の夏のボーナスは4年連続で増加との見通しが出ています。ところが、前年までと比較すると伸び率は大幅に鈍化しており、使途を見ると10月の消費増税を控えて貯蓄傾向が強い様子。ボーナスの使い道をこれから決める人も、はたまた賞与額を理由に転職を検討している人も、業界別の平均支給額などを参考にしながら使い道や転職先を検討してみてはいかがでしょうか。
民間企業のボーナス平均額は「39万321円」
まずは民間企業に焦点を当ててみましょう。三菱UFJリサーチ&コンサルティング社の調査によると、従業員規模5人以上の民間企業における賞与平均額は平均39万321円(対前年比プラス0.8%)で、4年連続の増加を見せているものの、伸び率は前年と比べて劣っています。
また、平均支給月数が多少上がってはいるものの、例年と比較して特に目立った変化は見られません。
上場企業のボーナス平均額は「74万3,588円」
民間企業のなかでも、上場企業はボーナス支給額の水準がワンランク上がります。一般財団法人労務行政研究所が行った2019年の調査によると、東証1部上場企業137社の2019年夏のボーナス平均額は全業界で74万3,588円。額面だけ見ると確かに高額ですが、こちらも民間企業全体の傾向と同様、対前年比の伸び率は0.7%に留まり、鈍化していることが分かります。
製造業は高めの水準だが……
同調査によると、上場企業のなかでも特に製造業はボーナスの平均額が高く、約79万円です。さらに、上場企業以外のボーナスについて三菱UFJリサーチ&コンサルティング社の調査を見ても、非製造業のボーナス平均支給額は36万1,312円であるのに対して製造業は52万4,568円の見込みとなっており、その差は歴然。
こうして見ると、確かに製造業は業界全体でボーナス支給額が高めですが、だからといって今、製造業に転職するのが良いとも限りません。それは、伸び率を見てみると分かります。
近年、製造業は、企業の業績不安などを要因に伸び率に鈍化が見られるのです。特に非鉄・金属、化学、さらには自動車業界などが、前年比減となりました。支給額だけで見ると、まだまだ製造業は上位にランクインしていますが、いずれも今後の動向をシビアに判断する必要があるでしょう。
非製造業の動向
これまで全体を押し上げてきた製造業の不振が見られる一方で、非製造業が好調です。厚生労働省「毎月勤労統計調査」によれば、2018年度の冬のボーナスで運輸、建設などの業種では、製造業と比較して大幅にボーナス支給額が増加しました。
理由はおそらく需要増による人員不足によるものでしょう。東京オリンピックを控え、建設業の需要が高まって人手不足が深刻化していたり、インターネットショッピングなどの浸透により配達員の給与水準が上がったりしている社会背景が挙げられます。
国家公務員の平均支給額は「68万8,415円」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング社の調査によると、国家公務員のボーナス平均支給額は68万8,415円になると予測されています。国家公務員のボーナス額増減については世論が注目するところですが、ボーナスの平均額は従業員の年齢平均に大きく左右されるため、単純な施策要因だけではなく、調査対象者の平均年齢を加味しながらデータを見ることが重要です。また、地方公務員の場合は所属する自治体によって算定方法が変わります。
額面だけで見れば、民間企業に比べて公務員は高水準にあると言えます。公務員志望の人が多く、試験突破が難関であるだけのことはありますね。ただし、製造業や公務員のボーナス平均額が高いのは、従業員の平均年齢も比例して高いこともきちんと理解してデータを見るべきでしょう。
増税対策!使い道は「貯蓄」傾向に
万が一の備えと赤字の補填に
株式会社ロイヤリティ マーケティングが3,000人を対象に行った調査では、夏のボーナスの使い道は「貯金・預金」が約4割を占めると発表しています。「貯金・預金」の使い道としては、用途を決めていないという人が約6割おり、用途を決めている人の中では「老後の生活の備え」が最も多く約6割となりました。
また消費者の節約志向を調査したところ、「節約したい」と考えている人が約6割という結果となりました。
ボーナス用口座をつくって貯蓄しよう
通常、ボーナスは給与口座に振り込まれるものですが、そのままにしておくといつのまにか生活費で使ってしまう可能性があります。確実に預貯金へ回すのであれば、貯蓄口座などに移すことがおすすめです。金利を少しでも良くするために定期預金にしたり、これを機に投資を勉強したりするのも良いでしょう。
また、住宅ローンなどの繰り上げ返済や、カードローンの返済などに補填して、できるだけ負債や支払利息を減らしていくことも預貯金の一歩といえます。
増税に備えて余力を残しておこう
ここで紹介したボーナスの金額は、決して手取りではなく、あくまで企業から支給された額面です。ここから年齢や世帯事情などに応じて社会保険料が引かれるため、あくまでこれらの情報は目安と考えましょう。2019年10月の消費増税を控え、夏のボーナスで余力を残せる資産管理ができるといいですね。
文・木村茉衣(ファイナンシャル・プランナー)/fuelle
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