来年11月の米大統領選挙に向けて、ヘルスケア・セクターへの逆風が強まっている。民主党ではサンダース上院議員をはじめ、多くの大統領候補者が「メディケア・フォー・オール(国民皆保険制度)」を支持しており、民間健康保険の廃止と政府が運営する単一の医療保険制度への切り替えを提唱している。これが実現すれば民間保険会社は壊滅的な打撃を受ける恐れがあり、ヘルスケア・セクターの株価は軒並み低迷している。
一方、再選を目指す共和党のトランプ大統領は、前回2016年の大統領選で公約に掲げた薬価引き下げの実現に向けて製薬会社や医薬品業界への圧力を強めており、こちらもヘルスケア・セクターに逆風をもたらす要因となっている。
ウォール街の市場関係者からは「ヘルスケア・セクターはいくらなんでも売られ過ぎではないか?」との指摘もある。最近の米株価が過去最高値圏で推移していることも、相対的にヘルスケア・セクターの割安感を際立たせているようにも見受けられる。そこで今回は逆風続きのヘルスケア・セクターについてリポートしたい。