安全性と収益性はどちらが重要か?
先ほど、決算書の分析をする時の重要な観点は、収益性と安全性だと述べましたが、では、このどちらが優先されるのでしょうか。
「もちろん、両方です」と答えるのがいちばん無難かもしれません。
しかし、企業は赤字決算であっても、それだけの理由で潰れることはありません。資金を提供してくれる人がいれば、経営継続は可能です(実際には、赤字を出し続ければ、資金提供者もいなくなるでしょうが)。
逆に、利益が出ていても、一時的にでも資金が不足すれば、会社継続は困難になります。
つまり、資金の管理が非常に重要なのです。資金不足で支払不能を起こさないという意味での安全性が最低限の絶対的必要条件、十分な利益を確保していくことが、企業の目指すべき目標と言うことができるでしょう。
もっとも、ここでは例外的な状況を強調し過ぎた感があります。一般的には収益性の高い会社は安全性も高いものです。この点は誤解がないようにしてください。
(『ざっくりわかる「決算書」分析』より抜粋・編集)
ざっくりわかる「決算書」分析
石島洋一(公認会計士) 発売日: 2019年06月18日
難解な決算書から、その企業の強みや弱点、そして将来性を知るための「たったこれだけのポイント」とは? 経営分析入門の決定版。(『THE21オンライン』2019年6月号より)
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