【目次】
①ピー・ビーシステムズIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【9/9更新】 ※一部有料会員限定
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【8/29更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- 株式会社ピー・ビーシステムズ
- コード
- 4447
- 市場
- 福証Qボード
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 冨田 和久 /1963年生
- 本店所在地
- 福岡県福岡市博多区東比恵三丁目3番24号
- 設立年
- 1997年
- 従業員数
- 46人 (2019/07/31現在)(平均45.6歳、年収590.6万円)
- 事業内容
- 企業の基幹システムをクラウド化する「セキュアクラウドシステム事業」、VR(仮想現実)シアター「4D王」の製造販売を行う「エモーショナルシステム事業」
- URL
- https://www.pbsystems.co.jp/
- 株主数
- 130人 (目論見書より)
- 資本金
- 99,000,000円 (2019/08/08現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,309,200株(別に潜在株式282,200株)
- 公開株数
- 240,000株(公募150,000株、売り出し60,000株、オーバーアロットメント30,000株)
- 調達資金使途
- 採用費や人件費、サーバー・ストレージ・ネットワーク機器やソフトウエアなどの購入、長期借入金の返済
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2019/08/22→1,280~1,380円に決定
- ブックビルディング期間:2019/08/26 - 08/30
- 公開価格決定:2019/09/02→1,380円に決定
- 申込期間:2019/09/04 - 09/09
- 払込期日:2019/09/11
- 上場日:2019/09/12→初値1,950円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:エイチ・エス証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:FFG証券
- 引受証券:西日本シティTT証券
- 引受証券:エース証券
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:エース証券
- 大株主
- 冨田和久 410,800株 28.50%
- 森崎高広 72,000株 5.00%
- 彌永玲子 65,000株 4.51%
- 加賀電子(株) 54,000株 3.75%
- (株)ユニリタ 50,000株 3.47%
- 日本アジア投資(株) 48,000株 3.33%
- 山代ガス(株) 48,000株 3.33%
- (株)ゼネラルアサヒ 42,000株 2.91%
- イメージ情報開発(株) 40,000株 2.78%
- K&Pパートナーズ1号投資事業有限責任組合 38,000株 2.64%
- 業績動向(単位:百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
- 2017/9 単独実績 1,591 105 89 91
- 2018/9 単独実績 1,485 24 14 -87
- 2019/6 単独3Q累計実績 1,222 121 112 122
- ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2019年12月10日までまたは上場後180日目の2020年3月9日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 3億3120万0000円(240,000株×1,380円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 282,200株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- ピー・ビーシステムズ<4447>は企業の基幹システムをクラウド化する事業である「セキュアクラウドシステム事業」、特殊な映像技術を用いて空間を仮想化する「エモーショナルシステム事業」の2つの事業から構成される企業である。
■セキュアクラウドシステム事業について
セキュアクラウドシステム事業は、売上高100-500億円規模の中堅企業を対象に、企業内で利用するシステムのプライベートクラウド化を中心に事業を展開。サービスは下記の3種類を提供している。
・サーバーの仮想化や強固なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」
・仮想化環境に特化し現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売を行う「プロダクツ」
・顧客が望む独自機能を満たすための開発を行う「カスタマイザー」
クラウドシステムは仮想化ソフトウェア上で成り立っており、同社の仮想化技術はクラウド側のサーバー構築事業に活かされている。特にCitrix社の仮想化ソフトの活用を得意としており、Citrix社の関連ビジネスが同事業の売上に占める割合は2018年9月期で約37%である。
また同社には当該分野の専門技術者が多数存在し、顧客に対するサービス提供のみならず、同業他社のサポート依頼も受けている。
顧客との直接取引と、同業他社パートナーとの取引をバランスよく行い、堅実な成長を実現している。
■エモーショナルシステム事業
エモーショナルシステム事業は、VRシアター「4D王」の技術開発及び製造販売を行っている。「4D王」は特許を取得しており、360度スクリーンに切れ目なく3D映像を投影する特許技術を基にして開発された、移設可能なミニシアターである。円筒形のスクリーンの中に客席が設置され、独自のVR空間を作り上げるシアターであり、顧客は軽量な3D眼鏡を使用する。
2019年7月時点で、「4D王」の常設設置個所は遊園地を中心に、国内17ヶ所・海外2ヶ所の合計19ヶ所である。尚、最近では工場見学等の様々な用途に対応するシミュレーターとしての利用が検討されるなど、販売・設置先が遊園地以外にも広まりつつある。
■部門別損益
2事業の部門別損益は下記となっている。
2018年9月期
・セキュアクラウドシステム事業 売上高15億円、セグメント利益3.0億円
・エモーショナルシステム事業 売上高0.2億円、セグメント損失▲1.2億円
2019年9月Q3(累計)
・セキュアクラウドシステム事業 売上高11億円、セグメント利益2.6億円
・エモーショナルシステム事業 売上高1.1億円、セグメント利益0.1億円
同社はセキュアクラウドシステム事業中心の事業構成である。同事業は安定的に推移しており、年間2-3億円のセグメント利益を計上している。
エモーショナルシステム事業は、2018年9月期売上1億円未満であり、事業としての拡大はこれからの状況である。2018年9月期は「4D王」の販売を伸ばすことができない中、新市場・新分野・新販売ルート開拓に注力した結果、赤字を計上するに至った。ただし2019年9月期Q3(累計)は、わずかながらも黒字化している。
■業績推移
2016年9月期 売上高13億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.5億円
2017年9月期 売上高16億円、経常利益0.9億円、当期純利益0.9億円
2018年9月期 売上高15億円、経常利益0.1億円、当期純利益▲0.9億円
2019年9月期(予想) 売上高18億円、経常利益1.2億円、当期純利益1.3億円
2018年9月期の業績は足踏みしたものの、同期を除けば、着実に事業は拡大している。尚、
2018年9月期はエモーショナルシステム事業のセグメント赤字(▲1.2億円)に加え、同事業の固定資産の減損損失を計上(▲0.9億円)したため、大幅な減益且つ当期純利益は赤字となった。ただしセキュアクラウドシステム事業は、過去最高の売上高を計上している。
2019年9月期は、Q3(累計)で、売上高12億円、経常利益1.1億円であり通期予想達成に向け順調に進捗中である。
■財務状況
2018年9月期末時点で、資産合計8.5億円に対して、純資産合計0.4億円であり、自己資本比率4.3%である、他IPO企業に比べ低い状態にある。
借入金3.7億円に対し、現預金3.7億円を保有しており、バランスしている。また貸借対照表上の借り方における最大科目は売掛金3.7億円、一方で貸方に買掛金3.4億円が存在する。
尚、営業活動によるキャッシュ・フローは2017年9月期+1.6億円、2018年9月期+1.7億円であり、いずれもプラスで推移している。
■資金使途
IPOにより2.2億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
① 事業拡大のための新規人材採用費及び人件費 1.3億円
② 生産性向上・セキュリティ強化のための社内システム投資 0.2億円
③ 金融機関からの長期借入金の返済資金 0.6億円
調達資金は主に人材関連費用に充当される。
■株主状況
富田社長が筆頭株主ではあるものの、株主シェアは29%に留まる。ただし新株予約権による潜在株式の割合を合算すると、株主シェアは43%となる。
事業会社として加賀電子<8154>同3.8%、ユニリタ<3800>同3.5%、イメージ情報開発<3803>同2.8%などが資本参加している。
またVCとして日本アジア投資(同3.3%)、K&Pパートナーズ1号投資事業有限責任組合(同2.6%)、みやざき未来応援ファンド投資事業有限責任組合(同1.4%)の3社が出資しており、VC比率は7.4%である。尚、VCは3社ともIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結している。
■まとめ
中堅企業向けにシステムのクラウド化を手掛ける事業及び、VRシアター事業を手掛ける企業のIPO案件である。福岡県福岡市に本社を置いており、上場市場は福岡証券取引所Qボード。主幹事証券はエイチ・エス証券である。
システムのクラウド化を手掛けるセキュアクラウドシステム事業は、着実な伸びを見せている。しかしVRシアターを手掛けるエモーショナルシステム事業は、本格的な事業立ち上げはこれからの状態である。尚、同事業は2018年9月期に減損を行うなど、過去の負の遺産の処理を行い、今後の事業拡大に向けた取り組みがなされている。
企業システムのクラウド化の流れは今後も継続すると予想されるため、セキュアクラウドシステム事業の安定的な成長は期待できる。セキュアクラウドシステム事業の安定成長の一方で、どのタイミングでエモーショナルシステム事業が本格的に立ち上がるのか、という点が、今後の同社のポイントになると考えられる。