ダイレクト型自動車保険とはインターネットや電話などを利用して加入する自動車保険のことだ。国内においてダイレクト型のシェアはまだ低いが、2017年までの過去10年間では約170%も伸びている。その理由の1つは保険料が安いことである。代理店型と比べて保険料がなぜ安いのか、事故対応やフォロー体制に違いはあるのか。

ダイレクト型自動車保険が安い理由

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(画像=OneSideProFoto/Shutterstock.com)

ダイレクト型自動車保険は代理店型よりも保険料が安い傾向にある。その理由はコストを抑えているからだ。自動車保険料が決まる仕組みを確認しながら詳しく解説していこう。

保険料は付加保険料で差がつく

そもそも保険料の内訳がどのようになっているのか確認しておきたい。

私たちが支払う保険料の内訳は「純保険料」と「付加保険料」に分かれる。純保険料とは、事故が発生したときに保険会社が支払う保険金に充てられる部分だ。純保険料は保険金の原資になるため、保険会社の事業運営などに使うことはできない。一方、付加保険料は保険会社の運営に必要な費用に充てられている。

付加保険料は主に社費、代理店手数料、利潤の3つからなる。社費とは保険会社の事業運営に必要な人件費や事務費などの諸費用である。代理店手数料は自社の損害保険を取り扱う代理店への手数料だ。ここに利潤=保険会社の利益が上乗せされる。

純保険料は過去の事故の確率や補償額などのデータをもとに算出されるため、保険会社間で大きく異なることはない。商品ごとの保険料の差は付加保険料の違いによるところが大きい。

ダイレクト型自動車保険が安いのはコストを抑えているから

付加保険料である社費、代理店手数料、利潤のうち、削減しやすいのは社費と代理店手数料といったコストだ。利潤も削減できなくはないが、保険会社が企業として存続していくためには限界があるだろう。

代理店型は代理店手数料の他、代理店の開拓やサポートにかかる人件費などのコストがどうしても大きくかかってしまう。その分は付加保険料として自動車保険料に上乗せされるため、保険料が高くなりやすいのだ。それに対して、ダイレクト型はインターネットを通じて情報提供から契約完了まで済ますことができ、付加保険料を圧縮できる。

ダイレクト型自動車保険の保険料が安い理由は、このような営業体制の違いにあるのだ。

自動車保険料が安いからといってサービス面が劣るわけではない

保険料の安さはダイレクト型の特徴でもあるが、安い分だけサービスなどが代理店型より劣ると考える人もいるかもしれない。確かに代理店型には対面で直接相談できるというメリットがある。自動車保険の資料を見比べたり、保険料を比較したりするのは手間がかかるため、代理店の担当者が説明してくれるのは消費者にとってありがたいだろう。

ダイレクト型では基本的にホームページから情報を取得し自分で比較検討しなければいけないが、コールセンターで相談もできるため、対面にこだわりがなければ大きな問題はないといえる。実際に事故が起こったときも対応するのは代理店ではなく保険会社であり、ダイレクト型だからといって心配する必要はない。

ダイレクト型自動車保険の保険料が安くても事故対応の品質は変わらない

事故対応の品質は代理店型かダイレクト型かで変わるものではない。事故後のフォロー体制は保険会社によるところが大きく、代理店から自動車保険に加入する場合でも保険会社のホームページなどで必ずチェックしたほういいだろう。

事故後の示談交渉について心配する人もいるかもしれないが、ダイレクト型だからといって不利になることはない。保険会社に関わらず過去の判例から判断して過失割合が決まるからだ。それよりも保険会社によって異なる事故受付や初期対応の時間帯を確認したい。平日や土日問わず対応してくれるか、24時間受付をしているのかなどの確認が大切だ。

保険会社のサポート体制が充実していれば、ダイレクト型でも安心して契約できるだろう。

ダイレクト型の自動車保険料が安いのは企業努力でもある

同じような補償内容やサポート体制なら、安い保険料で自動車保険に加入したいと思う人が多いのではないだろうか。中には営業担当者の顔が見えずダイレクト型に不安を抱く人もいるかもしれないが、コストを削って保険料に還元することは企業努力として捉えることもできる。ダイレクト型でも代理店型でもそれぞれ特徴があるため、良し悪しを把握して検討するようにしたい。

文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES

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