個人年金保険に加入したはいいものの、生活状況の変化などでどうしても解約を検討しなければいけない状況になる人もいるだろう。個人年金保険の途中解約は損をする可能性が高く、できれば避けたいところだ。途中解約を避けて損失を最小限にする4つの方法を紹介したい。

個人年金保険の途中解約はデメリットが大きい

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(画像=Illustration Forest/Shutterstock.com)

個人年金保険は将来のためにお金を積み立てていく商品であり、途中で解約するとそれまでに積み立てたお金の一部を解約返戻金として受け取れる。どのくらい戻ってくるかは商品にもよるが、一般的な円建ての定額個人年金保険は経過年数に応じて一定割合が戻ってくる。多くの場合、途中解約すると解約返戻金が払込保険料を下回るため注意が必要だ。

運用成果で解約返戻金が変動する変額個人年金保険もあるが、契約後1年〜10年程度の解約には費用として解約控除がかかる。解約控除は経過年数が短いほど高くなるため、早期解約には十分気をつけたい。

このように個人年金保険の途中解約はデメリットが大きくなりやすい。できる限り解約以外の方法で継続させるほうがいいだろう。

個人年金保険の途中解約以外の4つの選択肢

個人年金保険の途中解約を避ける方法としては4つの選択肢が考えられる。

将来受け取る年金額を減額して継続する

保険料の支払いが厳しいと感じたら、将来の年金額を減額して契約の継続を検討したい。年金額を減額することで毎月の保険料を減らせるため、家計負担を抑えたいのであれば有効な選択肢になるだろう。

知っておきたいのは、減額とは「減額分だけ解約すること」を意味していることだ。減額分に対する解約返戻金が発生することもあるが、税制適格特約(一般生命保険料とは別に個人年金保険料控除を受けられる)を付加した契約では解約返戻金を受け取れない。税制適格特約を付加しておらず解約返戻金を受け取れたとしても、契約期間が短いほど金額が少なくなることは覚えておきたい。

減額によって解約された部分は元に戻すことはできないため、慎重に検討してから手続きしよう。

払済保険に変更して契約を残す

保険料の払込自体をストップしたい場合は、払済保険に変更する方法がある。

払済保険とは保険料の払込を中止し、その時点の解約返戻金をもとに新たな年金額の契約に変更することだ。変更後は保険料の払込がなくても有効に契約を継続できるが、年金額は変更前より少なくなる。受取期間や年金開始日などは変わらない。

注意したいのは、税制適格特約が付加された個人年金保険の場合、契約後10年間は払済保険に変更できないことだ。保険会社によっては変更後の年金額が一定の金額を下回るような場合も払済保険に変更できないケースがある。

払済保険への変更は制限もあるが、それまで保険料を掛けた契約を有効に残せる。単に保険料の払込を止めたいだけなら途中解約に優先して検討したい方法だ。

自動振替貸付で保険料を立て替えて途中解約を防ぐ

保険には自動振替貸付という制度がある。保険料を支払えず払込猶予期間を過ぎた場合、保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替えてくれる制度だ。立て替えといっても保険会社からの貸付であるため、所定の利息が発生することや返済が必要なことは認識しておきたい。

自動振替貸付はあくまでも解約返戻金の範囲内であり、立て替えられた保険料とその利息が解約返戻金を上回ると契約は失効する。貸付金が未返済のまま年金受取が開始したり途中で死亡したりした場合は、立て替えられた保険料とその利息が保険金から返済されることも覚えておこう。

一般的に個人年金保険には自動振替貸付制度があるが、利用するなら途中解約を防ぐための一時的な措置として考えたい。返済せずに契約が失効してしまえば、何のために個人年金保険に加入していたのかもわからなくなるからだ。自動振替貸付制度がない商品もあるため事前に確認しておきたい。

まとまった資金が必要になったら契約者貸付で一時的にお金を借りる

保険会社から貸付を受ける制度としては契約者貸付もある。

自動振替貸付と同じように解約返戻金の範囲内で利用できるが、保険料の支払いに限らず使い道は自由だ。契約者貸付は自分で保険会社に申し込み、所定の方法で返済を行っていく。貸付金が解約返戻金を上回ると契約が失効したり、保険金から返済されたりする点は自動振替貸付と同様だ。

個人年金保険を解約せずにまとまったお金を準備できるのが契約者貸付のメリットだが、ある程度の返済の目途は借りる前に考えておいたほうがいいだろう。

個人年金保険の途中解約は可能な限り遅らせたい

個人年金保険の途中解約にはデメリットが付きまとう。この記事で紹介した4つの選択肢を参考にして途中解約は避けたいところだが、いずれにしても慎重に検討してほしい。早く解約するほど解約返戻金も少ないため、途中解約を選ぶ場合でも可能な限り遅らせるほうがいいだろう。

文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES

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