【目次】
①セルソース IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【10/30更新】 ※一部有料会員限定
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【10/15更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- セルソース株式会社
- コード
- 4880
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 医薬品
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 裙本理人 /1982年生
- 会社住所
- 東京都渋谷区渋谷1-19-5
- 設立年
- 2015年
- 社員数
- 56人(2019年08月31日現在)
- 事業内容
- 再生医療関連事業において、医療機関から脂肪・血液由来の組織・細胞の加工業務を受託する他、医療機関に法規対応サポートの提供や医療機器を販売、コンシューマー事業において自社ブランド化粧品を販売
- URL
- https://www.cellsource.co.jp/
- 資本金
- 90,000,000円 (2019年9月19日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,920,000株
- 公開株数
- 480,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2019/10/04→2,180~2,280円に決定
- ブックビルディング期間:2019/10/08 - 10/15
- 公開価格決定:2019/10/16→2,280円に決定
- 申込期間:2019/10/17 - 10/23
- 上場日:2019/10/28→初値6,020円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 山川雅之 60.97%
- 裙本理人 19.21%
- シリアルインキュベート(株) 13.35%
- 金島秀人 1.26%
- 花木博彦 0.51%
- 雨宮猛 0.51%
- 野崎正郎 0.28%
- (株)GTM総研 0.25%
- 中村憲正 0.25%
- 早川宗一郎 0.20%
- 藤田健太 0.20%
- 大西勝二 0.20%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2016/10 単体実績
139,504 8,300 6,447 96,447 - 2017/10 単体実績
519,062 158,840 111,400 207,848 - 2018/10 単体実績
1,212,730 294,549 193,400 401,249 - 2019/07 単体実績
1,172,202 222,919 145,725 546,974 - ロックアップ情報
- 裙本理人、シリアルインキュベート株式会社、山川雅之は上場後180日目の2020年4月24日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 10億944万0000円(480,000株×2,280円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 142,400株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- セルソース<4880>は再生医療関連事業と化粧品などを販売するコンシューマー事業の、2事業から構成される企業である。
2015年11月に医師であり筆頭株主(元社長)の山川雅之氏と裙本社長により、再生医療の産業化の推進を目的として設立さている。
■再生医療関連事業について
再生医療関連事業では、具体的に下記サービスを提供している。
・脂肪由来幹細胞加工受託サービス
・血液由来加工受託サービス
・FatBankサービス
脂肪由来幹細胞加工受託サービスは、整形外科等の医療機関が患者から採取する脂肪組織を預かり、脂肪由来幹細胞を抽出・培養・凍結保存する加工作業を行っている。
血液由来加工受託サービスでは、整形外科等の医療機関が患者から採取する血液を預り、その血液から多血小板血漿(PRP)を作成し、活性化させ、成長因子等を濃縮し、無細胞化した後に凍結乾燥を施した「PFC-FD」を作成する加工作業を行っている。
FatBankサービスは美容外科等の医療機関が患者から採取する脂肪組織を預り、脂肪組織を劣化させない超低温の環境で長期間の保管を行っている。
同社が扱う加工受託サービスの主要な疾患領域は、変形性膝関節症である。脂肪由来幹細胞を用いた治療件数は増加を続けており、同社の四半期毎の加工受託サービス及び契約の提携医療機関数も下記のように増加している。
■コンシューマー事業について
コンシューマー事業では、同社の再生医療センターでの脂肪由来幹細胞の研究に基づき開発された独自成分、「シグナペプチド」を配合した化粧品の製造販売を行っている。尚、ブランド名は「シグナリフト」である。
■市場環境
再生医療の市場規模は周辺産業も含め、2012年には世界で3,400億円であったが、2050年には53兆円までの成長が予測されている。また国内市場も2012年の260億円が、2050年には約3.8兆円までの成長が予測されており、市場環境は良好である。
■セグメント別売上高
2事業部門についてセグメント別売上高は下記のように推移している。
2017年10月期 売上高5.2億円
・再生医療関連事業 売上高3.7億円
・コンシューマー事業 売上高1.5億円
2018年10月期 売上高12億円
・再生医療関連事業 売上高7.8億円
・コンシューマー事業 売上高4.4億円
再生医療関連事業が同社の中心事業である。2018年10月期は再生医療関連事業が対前年同期比で売上が約2倍に拡大し、同社の成長を牽引した。
尚、2019年10月期についてもQ3時点(7月まで)で全体売上高12億円、再生医療事業8.2億円、コンシューマー事業3.5億円であり、既に前期並みの売上高の計上がなされている。
■業績推移
2016年10月期 売上高1.4億円、経常利益0.1億円、当期純利益0.1億円
2017年10月期 売上高5.2億円、経常利益1.6億円、当期純利益1.1億円
2018年10月期 売上高12億円、経常利益2.9億円、当期純利益1.9億円
2019年10月期(予想) 売上高16億円、経常利益2.6億円、当期純利益1.8億円
同社は2015年11月の設立である。設立以来黒字を維持しながら、事業を拡大している。ただし2019年10月期は増収の一方で若干の減益を予想。Q3時点で売上高12億円、経常利益2.2億円であり、通期予想の達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2018年10月期末時点で、資産合計7.0億円に対し純資産合計4.0億円、自己資本比率58%となっている。
借入金なく現預金2.5億円を有しており、財務状況に特段の懸念事項はない。
■資金使途
IPOにより11億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
・再生医療関連事業における設備投資資金 1.6億円
・新設する加工施設の敷金 0.3億円
・本社事務所の内装・機能拡充費用 0.5億円
・業務・管理機能効率化等のためのソフトウェア拡充費用 1.7億円
・今後の人材採用及び人員増に伴う人件費 6.2億円
・再生医療関連事業の学会運営費用 0.4億円
・再生医療関連事業の加工受託サービスの研究開発費 0.6億円
調達資金の半数以上が、今後の事業拡大のための人材採用及び人件費増加充当される。
■株主状況
同社の創業者であり医師の山川雅之氏が筆頭株主(株主シェア61%)である。裙本社長は第2位株主(同19%)となっている。創業者及び社長にて80%の株式を保有しており、安定的な株主構成である。
尚、第3位株主(同13%)のシリアルインキュベート株式会社は、山川雅之氏が社長を務める会社であり、創業者と社長で90%以上の株主シェアを有する状態である。
■まとめ
再生医療関連事業と化粧品などの開発販売を行う企業のIPO案件である。2015年11月の設立以来、第1期から黒字を維持している。
細胞などの加工受託サービス中心に事業を拡大する一方で、独自成分「シグナペプチド」を配合した化粧品の製造販売も行っている。
再生医療関連事業及び化粧品販売のコンシューマー事業の両事業ともに、事業の立ち上がりはなされた状態である。継続的に黒字を維持しているものの、2019年10月期は増収減益決算が予想されている。
再生医療の市場拡大は見込まれているものの、IPO後の2020年10月期以降は、将来に向けて増収増益を続けることができるのか、という点が今後のポイントになると考えられる。