不動産投資では、利益が出ているのに実際のお金の収支はマイナスとなるということがあり得ます。 実際のお金の収支のことを、キャッシュフローと言います。

このキャッシュフローを悪化させる原因は、借入金の元本返済にあります。 不動産投資では、利益とキャッシュフローの違いを十分に理解することが必要です。

そこで今回の記事では、お金の中でも特に借入金返済について解説します。

<参考コラム> 不動産投資での家賃収入とローンの返済額の関係は?いくら多くないとダメなのか?

キャッシュフロー
(写真=Jirsak/Shutterstock.com)

借入金の元本返済は費用とならない。

不動産投資では「実際に出ていくお金」と、「利益を計算するためのお金」はイコールではありません。 イコールでない理由は、借入金の元本返済と減価償却にあります。

「利益を計算する上で出ていくお金」を経費と呼びます。経費は利益を少なくしますが、同時に税金も少なくしてくれる効果があります。つまり経費には節税効果があるのです。

ところが、借入金の返済については、利息部分は経費ですが元本返済の部分は経費になりません。 借入金の元本返済は、お金は出ていきますが経費ではないため節税効果がないということになります。

ではなぜ、借入金の元本返済が経費にならないかというと、理由は簡単です。

お金を借りたときは、その借りた金額は売上にならないため、返す時も経費にはならないというのが理由です。

もし、借入金が売上になってしまったら、お金を借りた時に大きな利益が出てしまい、莫大な税金が発生してしまいます。 ところが、お金を借りても税金は発生しません。それは借りたお金は売上ではないからです。

同様に、返すお金に関しても、経費にはなりません。お金を借りたときに税金は増えなかったのに、返したら税金が減ってしまってはおかしな話になります。

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減価償却費は経費になる

一方で、不動産投資では実際にお金を支払わないのに経費になるものがあります。 それは減価償却費です。

減価償却費とは、建物の取得原価を毎年の費用として按分する、会計上発生する費用のことです。実際に支出されるお金ではありません。

不動産投資の税金は、賃料収入から経費を差し引いた利益に対して課税されます。 経費には、土地建物の固定資産税や建物の保険料、修繕費、管理委託費用等の実際に支払われる費用の他、実際には支払われない減価償却費も含まれます。

もし、借入金の元本返済が無い状態であれば、「利益-税金+減価償却費」がキャッシュフローとなります。「+減価償却費」となるのは、利益を計算する際、実際に支出されない減価償却費をマイナスしていたためです。

これに借入金の元本返済額が加わると、「利益-税金+減価償却費-借入金元本返済額」がキャッシュフローということになります。

キャッシュフローを良くするには

キャッシュフローが「利益-税金+減価償却費-借入金元本返済額」だとすると、借入金の元本返済が大きい場合、キャッシュフローがマイナスになることもあり得ます。

つまり、利益がプラスでもキャッシュフローはマイナスなるということもあり得るのです。

不動産投資で重要なのは、キャッシュフローです。キャッシュフローがマイナスとなってしまえば、やる意味がありません。

キャッシュフローを改善するためには、借入金元本返済額を少なくすることが重要です。つまり、自己資金を増やせばキャッシュフローが改善されます。

仮に100%自己資金で投資をした場合のキャッシュフローは「利益-税金+減価償却費」になります。これが不動産投資で得られるキャッシュフローの上限です。

キャッシュフローを上限に近づけるには、なるべく借入金を少なくし、自己資金を多くすることが重要になります。

まとめ

以上、不動産投資の借入金について解説しました。借入金の元本返済はキャッシュフローを悪化させる原因になります。自己資金を十分に用意して不動産投資をするようにして下さい。

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