本記事は、桑原 晃弥氏の著書『不可能を突破する 大谷翔平の名言』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

睡眠
(画像=Brilliant Eye / stock.adobe.com)

睡眠は、僕にとっての最優先事項ですから

―― 『SHO-TIME 3. 0』

大谷翔平の睡眠へのこだわりは強く、日本ハム時代から「睡眠欲すごいっス」と話していました。移動中はだいたい寝ているといいますし、夜寝るだけでなく、昼寝も好きでした。特にトレーニングをやった後はなるべく寝るようにして、「夜寝るのと昼とじゃちょっと違うんですよね」と夜と昼の眠りの違いについてさえ語っていたほどでした。

アスリートにとって睡眠はとても大切なものです。花巻東高校時代、大谷は何度かケガや故障を経験しています。そんな大谷を気づかったのでしょう、監督の佐々木洋は大谷を上級生の寮ではなく、下級生の寮で休ませるようにします。周りに気を遣うことなく、しっかり休んで、ケガや故障を治してほしいという思いからです。ところが、ある日のこと大谷は寝坊をしてしまい、罰として練習から何日かはずされ、雪かきをすることになります。大谷は大いに反省します。

本来、しっかり休み、しっかり練習しなければならない自分が、練習できない状況をつくってしまっては、周りのせっかくの心配りや気遣いも意味がなくなってしまいます。以来、大谷は休むこと、練習することなどについて、より「ちゃんと考えて、ちゃんとやる」ようになったといいます。

そんなこともあったからでしょうか、大谷は「睡眠」をとても大切にしています。それは日本ハム時代だけでなく、MLBに移籍してからも変わることはなく、昼間のトレーニングの一部に組み込んでいる「パワーナップ(昼寝)」を含めれば、1日10時間は眠るように心がけていました。そんな大谷だけに、2024年の開幕戦を韓国で行うために、ドジャースの監督やスタッフ、選手と一緒にアリゾナから韓国まで約13時間のフライトをした際には、監督のデーブ・ロバーツによると、大谷はチームの最長記録となる約11時間は寝ていたといいますから驚きです。

「寝る子は育つ」と言われるように大谷は子どもの頃からよく寝る子で、父親の運転する車でも、少年野球の移動中でもすぐに眠り、簡単には起きなかったといいます。本来、こうしたことは大人になると変わるものですが、大谷の場合、当時と変わることなく、環境が変わったとしても睡眠を優先できるところに活躍の源があるのでしょう。そんな大谷だけに、子どもが生まれて睡眠不足になるのではと心配されましたが、球場に行く前に子どもをお風呂に入れていくなど、工夫をしながら睡眠も維持しているようです。

ワンポイント
成果を挙げたいのならしっかりと眠り、しっかりと休むことも必要。

人生って必ずしも順調にいくわけではありませんし、そういうときでも楽しみがあったほうがいい

―― 『野球翔年Ⅱ MLB編 2018-2024 大谷翔平ロングインタビュー』

2024年2月、大谷翔平は田中真美子との結婚をインスタグラムで報告します。それまで浮いた噂一つなかっただけに、野球関係者やマスコミ、ファンの驚きは大変なものでした。とてもおめでたいことではあったのですが、なかには「これで成績が下がったら奥さんのせいにされちゃうね」といった心配する声もありました。

一方、大谷はそんなことはまるで気にしていませんでした。こう話していました。

「野球をやっていれば打てない、抑えられないときもあるんですけど、もしそうなったとしたらそれは自分の実力がなかったというだけじゃないですか。そんなの、私生活のせいであるはずもなく、そこはまったく別のものとして切り離せばいいことですから」

結婚と野球の成績はまるで関係ないというスタンスです。打てるか、投げて抑えられるかはすべて自分の技術次第というのが大谷の考え方でした。但し、だからこそ結婚することの意味があるとも考えていました。こう話しています。

「結婚することでのプラスはあってもマイナスはない。生きていく楽しみが増えるということです。人生って必ずしも順調にいくわけではありませんし、そういうときでも楽しみがあったほうがいい。それだけ充実する、ということがプラスなんだと思います」

実際、シーズン開始早々に通訳だった水原一平が起こした事件は、大谷のお金を長年にわたって横領したばかりか、一時は大谷が賭博に関わっていたのではないかという疑惑までもたれ、1つ間違えば大谷の選手生命も断たれることになったのではというほどの衝撃的な事件でした。

大谷自身はこうしたプライベートの事件と野球を切り離して考えていたと話していますが、事情聴取への協力など、かなりの時間を事件解明に費やすことになっただけに、精神的肉体的な疲労はかなりのものだったはずです。

それでも試合に出続けることができたこと、成績をそれなりに残すことができたのはやはり妻と愛犬の存在があればこそでしょう。

大谷は正直に「ここ数週間いろいろあったので、となりに誰がいるかどうかでだいぶ違う。そういう意味ではいてくれて良かったなと思う時はあった」とも話しています。遠回しな言い方ですが、大谷にとってプライベートの充実は野球をやるうえでも大きな力となったようです。

ワンポイント
プライベートを充実させてこそ仕事にも全力で向かうことができる。
『不可能を突破する 大谷翔平の名言』より引用
桑原 晃弥(くわばら・てるや)
1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。一方でスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、イーロン・マスクなどの起業家や、ウォーレン・バフェットなどの投資家、本田宗一郎や松下幸之助など成功した経営者の研究をライフワークとし、人材育成から成功法まで鋭い発信を続けている。
著書に『大谷翔平の言葉』(リベラル社)、『限界を打ち破る 大谷翔平の名言』『逆境を打ち破る イチローの名言』『藤井聡太の名言』『世界の大富豪から学ぶ、お金を増やす思考法』『自己肯定感を高める、アドラーの名言』(以上、ぱる出版)などがある。

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