シンカー:できるだけ簡素にデフレ完全脱却に向けての三つのステップを解説してみた。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

デフレ完全脱却のためには、三つのサイクルが天井を打ち破らなければならない。

信用と設備投資のサイクルは既に天井を打ち破った。

あとは、財政政策が拡大し、まだ弱いリフレサイクルを活性化させ(ネットの資金需要を復活させ)、マネーの拡大と金融緩和の効果を強くすることが急務。

期待成長率と期待インフレ率の更なる上昇で企業貯蓄率が正常なマイナスに戻れば、総需要を破壊する力がなくなり、デフレ完全脱却となる。

1.金融緩和で信用サイクルは強く失業率低下

金融緩和で信用サイクルは強く失業率低下

2.設備投資サイクルは期待成長率の上昇を示唆

設備投資サイクルは期待成長率の上昇を示唆

3.財政緊縮で弱かったリフレサイクルの活性化が必要

財政緊縮で弱かったリフレサイクルの活性化が必要
(画像=内閣府、日銀、総務省)

「アンダースロー」というタイトルは、私の父(ヤクルト)と弟(巨人、現コーチ)がプロ野球の元投手で、二人ともアンダースロー(変則投法)であったことが理由です。シンカーはアンダースローの投手の決め球です。アンダースローのように、日本経済とマーケットが再浮上し、躍動感あふれる動きとなることへの願いも込めています。そして、私の経済分析が「変則的」であるのも理由かもしれません。グローバルな荒波にもまれながら、長かった日本経済の構造不況とデフレの出口は間近に来ていると感じます。政策の手を緩めず、デフレ完全脱却まで辿りつくことが重要です。本年もよろしくお願いいたします。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司