アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)といえば、時価総額「1兆ドル企業」としてウォール街でも度々話題に上る企業である。2019年は7~9月期決算が9四半期ぶりの減益となったほか、株価もいまひとつ冴えない展開であったが、一方でスマートホームの普及に伴う「アレクサ旋風」に期待を寄せる声も聞かれる。

一部の期待通り「2020年はアレクサの年」となるのだろうか? 今回はアマゾンの最新動向をリポートする。

9四半期ぶりの減益、翌日配送のコストが圧迫

アマゾン,株価
(画像=Togetherless / shutterstock, ZUU online)

アマゾンの2019年7~9月期決算は増収減益となった。減益となるのは9四半期ぶりで、翌日配送サービスの拡充に伴う投資コストがかさみ、収益を圧迫した。

純利益は前年同期比26%減の21億ドル。1株利益は4.23ドルと、ファクトセットがまとめたアナリストのコンセンサス予想(4.59ドル)に届かなかった。クラウド部門など利幅の大きい事業の成長は続いたものの、インターネット通販事業での減益をカバーすることは出来なかった。

売上高は24%増の700億ドルでアナリスト予想(16%増)を上回った。売上高の半分を占めるオンライン販売は22%増と伸び率は前年同期の約2倍となった。7月はアマゾンの一大イベント「プライム・デー」の開催月でプライムメンバーの拡大に貢献した。

営業利益は15%減、AWCは好調続くが

ちなみに、クラウドサービスを除く北米事業の営業利益は37%減の13億ドルとなった。全体の営業利益は15%減の32億ドルだった。一方、クラウドサービス「AWC」は好調を維持。売上高は35%増の90億ドル、営業利益は9%増の23億ドルで全体の7割強を稼いだ。また、広告事業も44%増の36億ドルと新たな収益源として成長を示している。

アマゾンは10~12月期について、売上高を前年同期比11~20%増の800~865億ドルと予想している。しかし、営業利益は12億~29億ドルとなる見込みで、前年同期の38億ドルから大幅な減少となる可能性が高いという。引き続き、翌日配送サービスの拡充に伴う追加費用が15億ドル近く発生するほか、年末商戦に向けての在庫積み増しや配送コストの増加が見込まれるためと説明している。

事業ポートフォリオ、収益構造は絶妙なバランス