シンカー:ミクロ・会計のように財政のみで考えず、企業や家計を含んだマクロで考えれば、日本の財政状況は一般的に信じられているより健全で、他国と比較しても拡大の余地がある。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

日本の政府のネットの負債は大きいが、企業のネットの負債は消滅してしまっている。

政府が独占的な借り手の状態で金利が急騰するリスクは小さい。

政府のネットの負債を縮小させれば、家計のネットの資産を縮小させることになってしまう。

日本独自の国債60年償還ルールと社会保障の扱いを調整すれば、日本の国債依存度は米国の半分。

消滅してしまっているネットの資金需要を復活させ、適度な状況に保つため、15兆円程度の恒常的な財政支出の拡大余地がある。

(ネットの資金需要=企業貯蓄率+財政収支、マイナスが借入なので拡大。マネーが拡大し、デフレ脱却の力となる。)

これまでの財政政策は負債への懸念が強すぎ、ネットの資金需要をゼロに誘導するようなものであった。

50年超の国債で大規模な資金調達をしてでも、インフラや教育への投資を拡大する必要がある。

<日米のネット金融資産比較>

日米のネット金融資産比較

<米国と同じ基準にした日本の政府予算>

米国と同じ基準にした日本の政府予算
(画像=財務省、日銀、内閣府、OMB、FRB、SG)

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司