一般的に未経験職種への転職は年齢とともに難しくなると言われる。40代の男性が未経験職種へ転職することは可能なのだろうか。今回は40代男性が未経験職種への転職を成功させるポイントやおすすめの転職エージェントについて紹介しよう。
40代男性で未経験職種に転職するのは難しいのか?
日本最大級の総合採用支援サービス会社「doda」が公開した転職成功者の年齢調査(2019年上半期)によると転職成功者の年齢の内訳は、以下の通りだ。
<年代別転職成功者の割合>
・24歳以下:9.8%
・25歳~29歳:39.6%
・30歳~34歳:23.1%
・35歳〜39歳:12.8%
・40歳以上:14.4%
40歳以上の転職成功者は他の年代に比べ少ないことから、20代、30代は比較的転職を成功させやすく、40代ではより難しいと推測される。では40代で転職するのはなぜ難しいのだろうか。
40代男性で未経験職種に転職するのが難しい3つの理由 年収、経験、年齢
40代男性が未経験職種に転職する際、大きなハードルとなるのが「年収」「経験」「年齢」の3つだ。それぞれ順番に見ていこう。
1,前職より年収が下がる可能性が高い
40代が未経験職種に転職するときには、収入が下がることを覚悟しておく必要がある。厚生労働省の調査によると、40代で「転職後に収入が減った」と答えた人の割合は約28%、「変わらない」と答えた人が約35%だった。(厚生労働省の雇用動向調査(平成28年)より)
<転職者の賃金変動状況別割合>
年代 | 増加 | (内訳) | 変わらない | 減少 | (内訳) | ||
1割以上増加 | 1割未満増加 | 1割未満減少 | 1割以上減少 | ||||
20~24歳 | 40.8% | 31.8% | 9.0% | 30.5% | 27.3% | 9.2% | 18.2% |
25~29歳 | 45.6% | 35.1% | 10.5% | 20.8% | 32.5% | 11.6% | 20.8% |
30~34歳 | 41.9% | 24.8% | 17.1% | 26.9% | 29.8% | 7.7% | 22.1% |
35~39歳 | 48.2% | 34.2% | 14.0% | 24.1% | 26.2% | 7.0% | 19.1% |
40~44歳 | 37.1% | 28.5% | 8.6% | 34.8% | 27.0% | 10.0% | 17.0% |
45~49歳 | 32.3% | 25.1% | 7.2% | 36.5% | 29.1% | 9.7% | 19.4% |
50~54歳 | 28.7% | 16.5% | 12.2% | 36.1% | 32.8% | 6.4% | 26.3% |
55~59歳 | 22.5% | 13.4% | 9.1% | 33.8% | 42.6% | 6.2% | 36.4% |
60~64歳 | 11.6% | 6.6% | 5.0% | 21.8% | 65.2% | 3.3% | 61.9% |
※雇用動向調査(平成29年)を元に筆者作成
40代の転職では給与が増加した人は3割程度で20代、30代と比較するとやや少ない。残りの7割の人は以前と変わらない、もしくは以前より給与が減少していると回答している。
さらに未経験職種となれば、採用とともに育成や社内調整などのコストがかかる。同じ未経験職種であれば、育成後も長期的に働くことができる20代や30代の採用が優先されるため、40代の採用率は必然的に下がってしまうといえる。
上記を考慮すると40代で未経験職種へ転職する際、以前と同じ、もしくはそれ以上の給与を求めることは難しいだろう。
2,前職での経験が活かせないため即戦力にならない
40代男性の未経験職種への転職を難しくするもう一つの理由が、前職での経験が活かせないことだ。40代の転職に求められるのは、前職での経験やスキルを転職先でも活用し、即戦力として働くことだ。
未経験の職種への転職では即戦力として働くまでには時間がかかり、長期的に育成できる若年層が優先される可能性がある。
3,年齢が上でも部下になるため扱いづらいと思われる
企業が40代男性を採用した場合、上司が年下になるケースも少なくない。さらに未経験となると、ゼロからの指導が必要になるだけでなく、年下の上司の指示を仰ぎながら業務を進めることも考えられる。
たとえ転職者本人が問題ないと考えていたとしても、採用担当者に社内で扱いづらいと思われることもあるだろう。
40代男性が未経験職種への転職を成功させる3つのポイント
40代の男性が未経験職種に転職するのは難しいのが現状だ。そこで未経験の職種への転職を成功させやすくするために、次の3つのポイントをチェックしてほしい。
1,業界や職種にとらわれずマネジメントなど汎用的な能力をアピールする
40代男性が未経験の職種への転職を成功させるためには、業界や職種にとらわれないマネジメント能力や成果をアピールする必要がある。
転職が困難なミドル世代の転職でも、年収1000万以上の転職に成功した人が存在する。求人大手エン・ジャパンでは、同社が運営する30代、40代専門の転職サイト「ミドルの転職」を利用する転職コンサルタントにアンケートを行い、調査結果をまとめている。
この調査結果によると、「年収1,000万以上の求人で転職を成功させた人に共通する仕事の能力」で、上位に入った回答は以下の3項目だった。
・課題や目標を設定する能力:53%
・社内外の関係者を調整する能力:47%
・自分のビジョンを周囲に伝え、動かす能力:42%
こうした能力は特定の職種でのみ使用する専門的なスキルというより、仕事全般で活きる能力だ。こうした能力をアピールすることで、未経験の職種への転職を成功させやすくすることができると考えられる。
2,自分の市場価値を見極める
未経験の職種への転職において、自分の市場価値を見極めることは重要なポイントである。自分の社内での評価が高いからといって、その能力が社外でも大きな価値があるとは限らない。
ただ、自分の市場価値を自分自身で判断するのは難しいといえよう。求人サイト等でこまめに求人情報を確認し、職務内容、年収などを現在の自分と比較して市場価値をチェックしたい。また、転職エージェントなどを利用すれば、より客観的に自分の市場価値が把握できるだろう。
3,人材不足の業界を狙う
大手求人サイトエン・ジャパンが運営する人事向けサイト『人事のミカタ』が行ったアンケート調査では、人材が不足している部門があると回答した企業は約9割に上った。業界で見ると、以下の職種で人手不足の割合が高いと言える。
・IT・情報処理・インターネット関連:91%
・不動産・建設関連:91%
・メーカー:91%
・サービス関連:90%
人材不足がより深刻な業界では、一般的に積極的に人材を採用している。これらの業界をターゲットにして転職活動をすることも成功率を高めるポイントとなるだろう。
40代男性が未経験職種への転職でエージェントを使うメリット・デメリット
40代男性が未経験職種に転職する際には、転職エージェントを使うことでスムーズに進むことがある。そこで転職エージェントのメリットとデメリットについて、ネットに見られる評価を元にまとめてみた。
転職エージェントのメリット 非公開求人や面接対策など
転職エージェントを利用するメリットは、以下の通りだ。
・効率的に転職活動をすすめることができる
・自分では探せない非公開求人の情報をもらえる
・応募企業にあわせた対応や面接対策といったアドバイスがもらえる
特に、自分では探せない企業を見つけることができ、アドバイスを受けながら効率的に転職活動ができたといった意見が多かった。つまり、転職エージェントを利用することで転職先の候補の幅が格段に広がり、転職活動を有利に進められるのである。
転職エージェントのデメリット 電話やメールなどが手間、サービスのばらつきも
一方、転職エージェント利用するデメリットは、以下のことが挙げられる。
・担当者の質にばらつきがある
・メールや電話がしつこく、時間帯を考慮しない
・希望とは異なる求人を紹介される
転職エージェントを利用したが、満足の行くサービスが受けられず、ストレスを感じた方も多かった。細かい条件まで提示すると、希望する転職先がなかなか見つからないのも事実である。
40代男性が未経験職種への転職で利用したい転職エージェント3社
40代男性が未経験職種に転職を考える際には、転職のプロである転職エージェントの活用をおすすめしたい。ここでは、ミドル世代の転職を得意とする転職エージェント3社を紹介する。
1,JAC Recruitment 管理職の転職を得意した老舗の転職エージェント
JAC Recruitmentは、年収600万円~2000万円の転職を求めるミドル世代の求職者をターゲットとする老舗の転職エージェントだ。技術・専門職、役員、部長、課長、マネージャーなどの管理職の転職を得意とする。日系企業、外資系企業を問わず、大手優良企業への紹介実績が多いところも特徴の1つだ。
2,リクルートエージェント 非公開の求人数は20万件以上
リクルートエージェントは、求人業界の最大手であるリクルートグループ傘下の転職エージェントである。リクルートグループの企業力を基盤とした情報量は、大きな特徴だ。一般の求人サイトでは見ることができない非公開求人数も20万件以上ある。アドバイザーやサポートが充実している点も見逃せない。
3,type転職エージェント 利用者ごとに専任アドバイザーが付く
type転職エージェントは、ITエンジニア、営業職、企画職などの職種を得意とする転職エージェントだ。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の一都三県のエリアを中心に企業の紹介を行っている。
職種では、ITエンジニア、営業職、企画職を得意としており、業種ではものづくり(メーカー)の求人に力を入れている。利用者それぞれに専任のアドバイザーが付き、希望する職種や業種への転職をサポートしている。
40代男性の未経験職種への転職は自分の市場価値を把握して効果的なアピールを
40代男性の転職は決して容易ではない。未経験となれば、尚更難しくなるのも事実である。今回のポイントを参考に、まずは自分の市場価値を理解し、企業へメリットを感じさせるアピールを行おう。転職エージェントを利用すれば、自己分析や面接対策もサポートしてもらえるはずだ。
文・小塚信夫(ビジネスライター)/MONEY TIMES
【関連記事 MONEY TIMES】
40代で転職に失敗する人の5つの特徴
35歳以上で転職した人の52%が年収アップ!うち4割は100万円以上も増加
就職ランキングで人気の「三菱UFJ銀行」の平均年収はいくら?
「35歳転職限界説」が定説である理由 アラフォー転職の見えない壁
転職時に必要な保険証の手続きとは?病院へ行く場合はどうなる?