アクチュアリーは数理関連業務のプロとして、特に保険会社などの企業において重要な役割を担う職種のひとつです。今回はアクチュアリーに注目して、仕事内容、年収、資格の取得方法について解説しましょう。
アクチュアリーの仕事とは?
アクチュアリーの歴史は古く、企業における数理業務のプロフェッショナルとして、確固たる地位を確立しています。アクチュアリーはその仕事内容から「保険数理人・年金数理人」とも呼ばれています。
アクチュアリーの就職先
アクチュアリーの就職先は、保険・年金商品を取り扱う生命保険会社や損害保険会社、年金事業、共済事業をはじめ、さまざまな企業の資産運用部門、リスクマネジメント部門などがあげられます。
アクチュアリーの業務
公益社団法人日本アクチュアリー会では、アクチュアリーについて以下のように述べています。
「 『将来の出来事』の発生確率を評価し、望まれない出来事の発生確率を減らすよう知恵を絞り、起こってしまった出来事の影響を軽減することを考える専門家がアクチュアリーなのです。」
人間がいつ死亡するのか、あるいは、病気や事故にあうかどうかは、非常に予測が困難です。アクチュアリーとしての主な業務の一つは、予測が困難な将来の出来事を死亡率、自殺率、事故率、伝染病、天候、国の景気、災害確率、政治・経済情勢などのさまざまなデータをもとに、数理的な手法で評価・予測し、適正な保険料や保険金額を決めていくことです。
アクチュアリーの業務によって、予測が困難で不確定な将来の出来事に対して、保険や年金で備える保険の設計が可能となり、保険会社などは健全に経営を進めていくことができるのです。
アクチュアリーの年収
アクチュアリーの年収がどれくらいなのかは気になるところです。ここでは、業種別、年齢別、都道府県別、企業規模、役職など、いくつかの切り口で紹介しましょう。
アクチュアリー業種別年収
アクチュアリーの就職先は、生命保険会社や損害保険会社をはじめ、多岐の業種にわたります。年収は500 万円を超えるケースが一般的ですが、国内企業か外資系企業かによっても大きく異なります。
生命保険会社や損害保険会社で500万円代から、KPMGなどの4大監査法人では、それまでの実績により1,000万円を超えるケースもあります。
年代別にみたアクチュアリーの年収
年代別にみたアクチュアリーの年収を国税庁の年齢階層別の平均給与と照らし合わせて予測してみると、20代、30代、40代と年齢を重ねるごとに年収は上昇していき、50代をピークに60代に入ると減少に転じることが想定されます。
ただアクチュアリーという仕事の性質上、資格取得の状況により収入が大きく異なります。資格取得後、経験を積んでいくことにより評価が上がり、転職などを機に大きく年収がアップするということも考えられます。
都道府県別アクチュアリーの年収
厚生労働省の都道府県別賃金と照らし合わせてアクチュアリーの年収を予測してみると、東京都、大阪府などの都市部の年収が高くなることが予測されます。
外資系の保険会社や大手監査法人などの本社が都市部に多いことを考えると、商品開発やリスクマネジメントに携わることの多いアクチュアリーの仕事は、都市部に集中していると言えます。
アクチュアリーを目指すには?
アクチュアリーになるには、日本アクチュアリー会の資格試験に合格したのち、正会員として認定される必要があります。
資格取得に必要な科目は基本科目5科目と専門科目2科目があります。1科目合格すると、アクチュアリー会研究会員となり、基本5科目合格でアクチュアリー会準会員、基本科目5科目と専門科目2科目すべて合格し、プロフェッショナリズム研修(初期教育)を受講するとアクチュアリー会正会員になることができます。
準会員・正会員資格取得までの平均的な受験年数は、日本アクチュアリー会に入会時から準会員が約5年、正会員になるまでが約8年となっています。企業によっては、アクチュアリー資格取得のための受験料を負担したり、受験勉強のための機会を提供したりしているケースもあります。
アクチュアリーは年収が高く市場価値がある仕事
アクチュアリーの資格取得はとても難しいといわれています。全科目に合格するには最低でも2年の期間を要しますし、正会員になるためにはさらに時間がかかります。とはいえ正会員になる前の研究会員や準会員であっても、将来性が認められ企業に採用されることがあります。
アクチュアリーは年収が高く、多くの企業が必要とする市場価値のある仕事です。自分のキャリアプランにマッチする場合は、費用や受験年数を含め、取得を検討してみるとよいでしょう。
文・小塚信夫(ビジネスライター)/fuelle
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