区分所有のマンションを取得して収益を確保し資産形成を図るためには、入居者の安定的な確保とできるだけ高額な家賃が設定できる物件の選択が重要です。そのためには、物件選びに当たってどんな点をチェックしておけばいいのでしょうか。
家賃や立地の次には設備も重要な選択ポイント
賃貸住宅に住んでいる人たちは、なぜその物件を選択したのでしょうか。国土交通省が毎年実施している『平成30年度住宅市場動向調査報告書』の2018年度版によると、選択理由として最も多かったのが「家賃が適切だったから」50.3%でした。次いで「住宅の立地環境が良かったから」42.8%、「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」32.9%となっています。
自分たちの支払い可能な予算の範囲で立地に恵まれた物件を優先している人が多い傾向です。しかしそれだけでは十分とはいえず、物件のデザインや広さ、設備なども重要な要件になっています。賃貸住宅居住者のなかでも比較的年収の高い層ほど、多少家賃が高くなっても自分が住むにふさわしい立地かつおしゃれで設備・仕様が充実した住まいを選ぶ傾向といえるでしょう。
図表1 賃貸住宅の選択理由(複数回答) (単位:%)
満足度の高い設備と次に引っ越すときに欲しい設備は異なる
そこで、実際にどんな設備が必要とされているのでしょうか。2018年にリクルート住まいカンパニーが行った「2018年度賃貸契約者動向調査」によると、「満足度の高い設備」「次に引っ越す際に欲しい設備」は図表2の通りです。
図表2 賃貸住宅に欲しい設備 (単位:%)
賃貸住宅に住んでみて満足度の高い設備は図表2の青色の棒グラフです。トップは「24時間出せるゴミ置場」で68.3%、次いで「追い焚き機能付きの風呂」66.5%、「TVモニター付きインターフォン」65.9%、「浴室乾燥機」65.4%と続いています。これらは賃貸住宅居住者のなかでもは、特に一人暮らしの女性社会人の需要が多い傾向です。
自宅にいる時間が少ないためかめ24時間ゴミが出せたり追い焚きや浴室乾燥ができたりする便利な設備への満足度が高いといえます。また防犯などの面からモニター付きのインターフォンも需要が高いです。ただ現状の満足度と次に引っ越すときに欲しい設備は若干異なります。図表2の赤色の棒グラフが「次に引っ越すときに欲しい設備」の割合を示したものです。
トップに「エアコン付き」で71.7%、次いで「独立洗面台」66.4%、「TVモニター付きインターフォン」58.9%、「都市ガス」53.8%と続いています。TVモニター付きインターフォン以外は需要が大きく異なることが理解できるのではないでしょうか。
家賃が多少高くなっても欲しい設備がある
次に引っ越すときに絶対に欲しい設備であれば「その分、多少家賃が高くなっても仕方がない」と考える人もいます。賃貸住宅のオーナーの立場からすれば、それだけ高い家賃設定を行えるわけで収益性が高まるでしょう。同調査により家賃上昇許容額をまとめたのが以下の図表3です。
図表3 家賃上昇許容額(平均1,000円以上)
エアコン付き | 1,700円 |
---|---|
独立洗面台 | 1,400円 |
浴室乾燥機 | 1,300円 |
TVモニター付きインターフォン | 1,300円 |
ディンプルキーなどのピッキング対策の鍵 | 1,300円 |
セキュリティシステム | 1,300円 |
追い焚き機能付きの風呂 | 1,200円 |
温水洗浄便座 | 1,200円 |
防犯カメラ | 1,100円 |
システムキッチン | 1,000円 |
床暖房 | 1,000円 |
(資料:リクルート住まいカンパニー『2018年度賃貸契約者動向調査』)
各種設備に関する家賃上昇許容額のトップは「エアコン付き」で平均すると1,700円まではOKという結果でした。以下「独立洗面台」は1,400円、「浴室乾燥機」「TVモニター付きインターフォン」「ディンプルキーなどのピッキング対策の鍵」は1,300円までを許容上限とする傾向です。そのため賃貸住宅入居者が次に引っ越すときに欲しがるような設備をそろえておくことも戦略の一つになります。
入居者の需要をリサーチのうえ見極めて投資を行っておけば1万円、2万円と高い家賃を設定することも期待できるのではないでしょうか。またこのような各種設備は都心の新築マンションではほぼ完備されている物件もあるでしょう。不動産投資向けの区分所有マンションを選ぶ際には頭に入れておきたいポイントです。(提供:Incomepress )
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