三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、今年の投資戦略について、米金利の低下余地が大きいことから米国債の買いを推奨した。

ドル・円相場は、11月の米大統領選に向けて、年末に1ドル=102円程度の円高・ドル安傾向を予想。日本株については、オリンピック需要の反動や中国の新型肺炎による影響懸念などが重しとなる半面、主要国の政府・中央銀行による政策や需給面が支えとなり、強弱が交錯し、銘柄選別が鍵となると指摘。その上で、人工知能(AI)・デジタル関連株が有望と見込んでいる。

ドル・円相場は下がる見通し

宇野氏は4日、ZUU onlineとの電話インタビューで、米政策金利フェデラルファンド(FF)金利誘導目標1.5―1.75%を挙げ、「物理的に利下げ余地があるため、キャピタルゲインを取りに行くことができ、買えるものは米国債。長い年限の米金利低下が見込まれる」と述べ、年末の米国債10年物利回りは0%を予想している。

為替相場については、「米金利低下見通しや米大統領選を控えて、ドル全面安ではないもののドル高にはならないと思う」と語り、米大統領選に向けて「円安にするなと言われやすいことからドル・円相場は下がる見通し」という。

一方で、主要国の株式市場は、自社株買いなどで需給がコントロールされているほか、各国政府の景気刺激策などを背景に、大きく下がることはないと予想。

日本株はAIやデジタル関連銘柄が有望か

宇野氏は、「日本株・米国株は、売るには限度があるため、大きく下がらないと思う。日本株はオリンピック・パラリンピック終了前の段階から反動の売りが出る可能性はあるものの、資金の偏在から、全て悪くなる訳ではなく業種によって格差が分かれ、良い業態や分野もあると思う。あまり景気に左右されないAIやデジタライゼーション(デジタル化)銘柄が有望だと思う。東京の不動産価格もオリンピック後に下がらないと思う」と分析。

「日経平均株価が2万5000ー6000円に上がることはないが、大きく下がることもなく、年末の日経平均株価は2万1000円程度」を予想している。

中国株については、新型肺炎の感染者・死者拡大が圧迫要因になるものの、短期金融市場への資金供給や財政出動などで景気を下支えすることにより、「需給を管理して上海株(上海総合指数)が2000ポイントに下げることを止めると思う。人民元安は止められないので上海株に悪影響はあるだろうが、経済が悪くならないよう斟酌すると思う」と見込む。

(執筆:池田 祐美 ZUU online編集部)