外国為替,米ドル,豪ドル,加ドル
(画像=gopixa/Shutterstock.com)

大和証券の今泉光雄チーフ為替ストラテジストは、トランプ米政権が、11月3日投開票の大統領選に向けて、年後半に米景気・米国株を押し上げ、ドル・円相場は7−9月期に今年高値を試すと想定している。

今泉氏は12日、 ZUU onlineとの電話インタビューで、「トランプ米政権は、大統領選の前に景気が悪くて株安になると再選が難しくなるため、7−9月期に景気のピークを迎えるようにすると思う。10月に発表される7−9月期の米国内総生産(G D P)が良ければ、トランプ大統領は再選されやすくなるので、7−9月期に米経済指標がピークになるように持って行き、米国株・ドル・米国債利回りが高値を付けると思う」と述べた。

同氏は、今年のドル・円相場の安値は1月8日に付けた1ドル=107円65銭程度、高値は7−9月期に115円程度を見込んでいる。

米大統領選直前の10月には不透明感が強まり頭打ちに

もっとも、米大統領選直前の10月には不透明感が強まり、上値が重くなるとの見方を示す。今泉氏は、「米大統領選がギリギリの接戦になれば、10月にリスクオフ(回避)の動きとなり、米国株・ドル・米国債利回りは頭打ちになるのではないか。共和党・民主党のどちらの候補が勝つにしても、10月はいったんリスクオフの売りになりそう。ただ米大統領選後は、買い戻しが入り少し持ち直す見通し」と語った。今年末のドル・円相場は112−113円程度を予想している。

一方、年前半は中国の新型肺炎による悪影響が景気の重しとなると言う。同氏は、「日米貿易合意の第1弾があり、米中経済は春節後に回復するかと思っていたが、新型肺炎で1−3月期の景気は低迷しそうだ。中国の工場が稼働せず、サプライチェーン問題で部品が納入されず、工場の稼働停止などで悪くなりそう」と説明した。

その後は、「夏にかけては東京オリンピック・パラリンピックに向けて徐々に良くなって行くだろう。仮にオリンピック・パラリンピックを開催しないとなれば大打撃になるが、そこまではないと思う」と読む。日米欧の中央銀行は、今年は様子見姿勢で全く動かないと見込んでいる。

(執筆:池田 祐美 ZUU online編集部)