貯金を増やしたいと思っていてもなかなかできないという人は多いかもしれない。今回は貯蓄、投資の観点からお金を増やしていくのための4つの方法を紹介。自分に向いているものを選択し貯金を賢く運用できれば、貯金を増やすことも可能なはずだ。

貯金ができる人は先取りで収入の2割を貯金

貯金,増やす
(画像=Singkham /Shutterstock.com)

貯金を増やす具体的な方法について見ていく前に、世間の人がどれくらい貯金しているのかを見ていきたい。40代の勤労者世帯は月にどれくらい貯金に回しているのだろうか。総務省が発表した「家計調査報告 2018年」によると40代の家計状況は以下の通り。

・平均収入:60万1,135円
・平均可処分所得:48万6,087円
・黒字:6万2,133円

つまり可処分所得のうち、約3割程度は手元に残っている計算だ。

【世帯主の年齢階級別家計収支(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)】

項目 平均 40歳未満 40~49歳 50~59歳 60歳以上
世帯人員(人) 3.32 3.6 3.71 3.2 2.68
世帯主の年齢(歳) 49.6 34.1 44.4 54.3 65.2
実収入 55万8,718 52万1,119 60万1,135 64万3,361 42万4,429
非消費支出 10万3,593 8万6,534 11万5,048 13万1,467 6万7,292
可処分所得 45万5,125 43万4,585 48万6,087 51万1,894 35万7,137
消費支出 31万5,314 27万2,090 32万3,954 35万1,434 29万6,724
黒字 13万9,811 16万2,495 16万2,133 16万0,459 6万,413
黒字率(%) 30.7 37.4 33.4 31.3 16.9

※「家計調査報告(家計収支編)2018年平均結果の概要」より筆者作成

しかしこの実収入の中には、勤め先収入の他に「その他の収入」が約8%含まれている。そのため勤め先収入しかない場合、実収入は55万1,240円となる。勤め先収入から消費支出を引くと、残りは11万2,238円となり黒字率は約24%だ。

統計から考えると、勤労世帯は平均して収入の2割ほどを貯金するのが無理なく理想といえるだろう。ではこの2割を無理なく貯めて増やすためにはどうしたらよいのだろうか。

貯金を増やす2つの考え方 「貯蓄」か「投資」か?

貯金ができる人は、あらかじめ貯金する金額を引いて残った金額で生活する、いわゆる「先取り貯金」を実践しているため着実に貯金ができているようだ。今回は無理なく先取り貯金ができて、しかもそれを増やせる4つの方法を紹介しよう。

貯金を増やす方法には2種類ある。それが「貯蓄」と「投資」だ。「貯蓄」は基本的に銀行などの金融機関に財産を預けること、「投資」は金融商品を購入し売買の差額で利益を得ることだ。「貯蓄」は基本的には預けた財産が減ることはないが、大きく資産を増やすことは難しい。一方の投資は大きく資産を増やせる可能性があるものの、反対に資産が購入時より減ってしまうこともある。

今回は貯蓄と投資、それぞれ2つの貯金を増やす方法をお伝えする。

2つの貯蓄方法 金利の高いネット銀行の「定期預金」か差益が期待できる「外貨預金」か

現在、普通口座に貯金していても金利は0.001%。お金が増えていると実感はしづらいだろう。同じ貯金であれば金利の高い定期預金などのほうが増えていきやすい。まずは金利が高く貯金もしやすい貯蓄方法を2つ紹介しよう。

貯蓄方法1,積立定期預金――手間をかけずに普通預金よりも高い金利で運用

積立定期預金は、給料の振込口座から自動的・定期的に積み立てる定期預金である。積み立てられる金額は金融機関によって異なるが、月々500円や1,000円などの少額から始められる金融機関が多い。毎月一定額を積み立てる方法の他に、ボーナス日にあわせて増額月を指定したり、ATMで自由に預け入れたりもできる。金利は一般的に普通預金よりも高くなっている。

・積立定期預金のメリット・デメリット
メリットは自動的に給与口座から引き落としてくれるため、貯金の手間がかからない点だ。また投資と異なり元本割れする可能性がなく安心して貯められる。デメリットは満期日前に中途解約すると期日前解約利率が適用され、多くの場合普通預金と同じ利率になる点だ。

給料振込口座に残高があるとつい使ってしまう人、貯金が長続きしない人には向いているといえよう。

・積立定期預金の取り扱いがある金融機関
自動積立定期預金はいくつかのネット銀行やゆうちょ銀行、メガバンクなどで取り扱っている。以下は各銀行の積立定期預金の金利を比較したものだ。

【積立定期預金の金利比較表】

銀行名 1年 2年 3年
ソニー銀行 0.15% 0.02% 0.02%
イオン銀行 0.08% 0.08% 0.08%
楽天銀行 0.03% 0.03% 0.03%
ゆうちょ銀行
地方銀行
メガバンク
0.01% 0.01% 0.01%

※各金融機関の公式サイトを元に筆者作成
※各社の金利は2020年2月10日時点での数値

1年の場合、積立定期預金の金利が最も高いのはネット銀行である「ソニー銀行」だ。だが、2年、3年と長期で預けたい場合はイオン銀行が最も高い金利となっている。

ゆうちょ銀行などメガバンクの積立定期預金の金利は、預け入れ金額や預け入れ期間にかかわらず基本的には年0.01%だ。ネット銀行と比べると10~20倍違ってくるので、使用目的や預入期間を考えたうえで使い分けたい。

貯蓄方法2,外貨積立預金――円よりも金利が高いが元本は保証されない

外貨預金積立とは日本円を両替して金利の高い外貨で積み立てる預金だ。

・外貨積立預金のメリット・デメリット
外貨預金積立の一番大きなメリットは、外貨は円よりも金利が高い傾向にあるため、円で積立預金をするよりも資産を早く増やせる可能性がある。また為替が円安に振れていれば、預けているだけで満期時に利益が得られる。

デメリットは円高になった場合、資産が減少することがある点だ。そのため外貨積立預金では元金の保証はされていない。さらに両替する際は為替手数料がかかる。

ただ外貨積立預金はドルコスト平均法を利用するため、比較的安定した積み立てができるとも言える。ドルコスト平均法とは、毎月など定期的に同じ購入額で買い付ける方法だ。購入時期を分散することで為替変動リスクを低減させる効果がある。

為替変動リスクに一喜一憂することなく資産を効率的に増やしたい人が外貨定期積立に向いているといえる。

・外貨積立預金の取り扱いがある金融機関
外貨預金積立は、全国各地の銀行やネット銀行で取り扱いされており、毎月自動で積み立てができる。積み立てる金額は金融機関や取扱通貨によって異なるが、500円~と少額から始められる金融機関もある。また、為替手数料も金融機関によって違うので、積み立てる前に比較検討した方がよい。

【外貨積立預金の取り扱いがある金融機関比較表】

金融機関名 最低買付金額 為替手数料
(1米ドル)
取扱通貨 米ドル金利
(1万通貨以下/
1年の場合)
住信SBI
ネット銀行
500円 2銭 9通貨 0.25%
楽天銀行 3,000円 25銭 7通貨 0.10%
ジャパンネット銀行 300円 3銭 9通貨 0.18%
新生銀行 10,000円 15銭 5通貨 1.00%
ソニー銀行 500円 15銭 12通貨 0.25%
じぶん銀行 100円 0銭 8通貨 0.20%
イオン銀行 500円 0銭 1通貨 0.25%
GMOあおぞら
ネット銀行
500円 2銭 8通貨 1.50%
三菱UFJ銀行 1,000円 25銭 6通貨 0.10%
三井住友銀行 500円 50銭 5通貨 0.10%

※各金融機関の公式サイトを元に筆者作成
※各社の金利は2020年2月10日時点での数値

三菱UFJ銀行、三井住友銀行などの大手銀行の金利は0.10%。新生銀行やGMOあおぞらネット銀行などネットに力をいれている銀行と比べるとそれほど高くないといえる。

2つの投資方法 お得に長期で投資できる「つみたてNISA」か老後資金の準備に適した「iDeCo」か

先に紹介した貯蓄方法は普通預金よりも金利が高く貯金は増やせるが、期間は通常6ヶ月〜5年までなどと決まっており、長期的に大きく増やすことには向いていない。長期的には少しリスクをとっても大きく資産を増やしたい場合は投資を検討するのもよいだろう。そこで今回は長期的に大きなリスクを取ることなく資産が増やせる投資方法について見ていこう。

投資方法1,つみたてNISA――長期で積立・分散投資ができ運用益は非課税

ここまでは「貯蓄」で貯金を増やす2つの方法について見てきた。ここからは「投資」で資産を増やす方法について解説する。

投資で貯金を増やす方法の1つ目はつみたてNISAだ。少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制で、毎月3万円など一定額の掛金で自分が決めた投資信託を購入していく。金融商品は金融庁の厳しい基準をクリアした投資信託とETF(上場投資信託)しか購入できない。1年間で最大40万円まで積み立てが可能だ。

・つみたてNISAのメリット・デメリット
最大のメリットは、通常運用益にかかる20.315%の税金が課税されないためお得に資産を運用できることだろう。また長期間にわたって積み立てすることで、前述のドルコスト平均法の効果を得てリスクを軽減できる。

デメリットは元本が保証されていないため資産が減る可能性もある点だ。また、運用商品が限られているため選びやすい反面、投資商品を幅広く選びたい人にはデメリットとなる。

つみたてNISAは大きなリスクを取らず少額ずつ積み立てていきたい人、自分で運用商品を比較検討することが難しいという投資初心者に向いている。

・つみたてNISAの取り扱いがある金融機関
2020年2月時点でつみたてNISAを取り扱っている金融機関は全国で560社ある。全国の銀行、証券会社、信用金庫等で扱っている。つみたてNISAの投資信託の利回りは投資信託の種類や時期によるため、正確には予測できない。しかし千葉銀行の試算によれば、過去20年間運用した投資信託の平均利回りは以下のようになっている。

【アセットクラス別投資信託平均利回り】

アセットクラス 株価指数 1年間の
平均利回り
国内株式 TOPIX 1.43%
先進国株式 MSCI World Index
(MSCIコクサイ・インデックス)
2.63%
新興国株式 MSCI Emerging Markets Index 3.67%
米国株式 S&P500 3.84%
全世界株式 MSCI ACWI Index 3.62%

※千葉銀行の公式サイトを元に筆者作成

この利回りは実績に基づいた予測のため、今後の運用益を保証するものではないが、1年間の利回りはすべてのアセットクラスでプラスとなっている。運用がうまくいけば普通口座にお金を貯めているよりも、効率的に資産を増やせるだろう。

投資方法2,iDeCo(イデコ)――3つの税制優遇で効率的に老後資金を貯められる

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金のこと。毎月一定の掛金で自分が決めた投資信託を購入していく。iDeCo(イデコ)は毎月5,000円から積み立てることができ、原則として60歳まで積立を続けなければならない。iDeCo(イデコ)を利用して積み立てた金額は、原則として60歳以降に年金として受け取ることができる。

・iDeCo(イデコ)のメリット・デメリット
iDeCo(イデコ)の最大のメリットは税制優遇だろう。掛金の全額が所得控除の対象、運用益は全額非課税、そして受取時も所得控除が受けられる。長期間にわたって積み立てることでリスクを軽減でき、老後資金を効率的に準備することができる。

デメリットは原則として60歳以降でないと積立金額を受け取ることができない点だろう。急な出費などがあっても原則引き出せないため、積み立てる掛金の額は慎重に決めたい。また、iDeCo(イデコ)で元本保証型ではない商品を選択した場合、積み立てた金額よりも受取金額が少なくなることがある。

・iDeCo(イデコ)の取り扱いがある金融機関
iDeCo(イデコ)の取り扱いのある金融機関は、全国の銀行、証券会社など76機関だ。どの金融機関でiDeCo(イデコ)を利用するかは、サポート、商品内容、手数料などを比較して選ぶとよいだろう。iDeCo(イデコ)の利回りも選ぶ金融商品や時期によって異なるが、ここではiDeCo(イデコ)と似た特徴のある企業型確定拠出年金の平均利回りを紹介する。

【2019年度の企業型確定拠出年金平均利回り別割合】

平均利回り 企業の割合
~-4.0%超 0.20%
-4.0%超~
-3.0%以下
0.50%
-3.0%超~
-2.0%以下
0.50%
-2.0%超~
-1.0%以下
0.50%
-1.0%超~
0.0%以下
1.90%
0.0%超~
1.0%以下
9.10%
1.0%超~
2.0%以下
15.30%
2.0%超~
3.0%以下
24.90%
3.0%超~
4.0%以下
20.70%
4.0%超~
5.0%以下
14.70%
5.0%超~
6.0%以下
6.70%
6.0%超~
7.0%以下
1.90%
7.0%超~ 3.30%

※「2017年度決算 確定拠出年金実態調査結果」より筆者作成

企業型確定拠出年金の利回り調査では、最も多かった回答は「平均利回り2.0%超~3.0%以下」となった。運用利回りがマイナスになっているのは全体のわずか3.6%だ。もちろんマイナスになる可能性もあるが、運用益はプラスになっている企業が多いことがわかる。(※「2017年度決算 確定拠出年金実態調査結果」より)

銀行の定期預金や普通預金よりも効率的に資産を増やすことが期待できるといえる。

どのような目的で貯金したいかによって自分にあった方法を選択しよう

今回は貯金を増やすための方法を4つ紹介した。「積立定期預金」はリスク許容度が低く確実に安全に資金を貯めたい人に向いている。「外貨積立預金」は日本円だけを保有することが不安な方や、少しリスクを取ってでも日本円よりも効率的に資産を増やしたい人向きだ。

一方で「つみたてNISA」は前述の2つより投資要素が強くリスクもやや高いが、少額からはじめて長期的に資産を大きく増やしたい人には向いているだろう。「iDeCo(イデコ)」もつみたてNISAと似ているがこちらは老後資金を効率的に貯めたい人に向いているといえる。

貯金を始める時には、「いつ使うのか」「何のための貯金か」という目的を明確にすることが大切だ。無理なく長続きできる方法を選択するためにも、一度自分の収入やライフプランを振り返ってみよう。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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