30歳独身女性の転職は難しいのでしょうか。口コミやイメージで、なんとなく感じることはできますが、あいまいで根拠がないのが実情です。一方、データをもとにした推測は、予測の範囲になりますが、ある程度の傾向が分かるでしょう。今回は、厚生労働省の平成30年雇用動向調査結果のデータをもとに転職状況を予測するとともに、転職先を選ぶポイントを考えてみます。

30歳独身女性の転職は難しい?

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(画像=PIXTA)
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(引用元:厚生労働省 平成30年雇用動向調査結果の概要 図6年齢階級別転職入職率)

今の日本では、30歳独身女性の転職は難しいのでしょうか。上記の表は、厚生労働省の平成30年雇用動向調査結果の概要に載っている、年齢階級別転職入職率のグラフです。転職入職率とは、入職前1年間に就業経験のあるいわゆる転職者の人数を平成30年1月1日現在の常用労働者数で割った割合です。

年齢階級別転職入職率のグラフは、年齢階級ごとの転職入力者を表にまとめたものです。表の下部に年齢階級が記載されていますので、年齢ごとに該当するところをみていきましょう。

女性の転職入職率が高いのは、25歳~29歳であることが分ります。30代に入ると転職入職率が急激に下降していることが分ります。以降30代から40代前半にかけて緩やかに上昇し、40代後半から下降し、65歳を境に急激に下降しています。

女性の転職者入職率の推移は、結婚、出産、子育てなどのライフイベントを反映しているように思われます。65歳以降の急激な下降は、現在多くの企業が定年年齢を65歳に設定している点が原因と推測されます。

グラフからは、30歳女性の転職は、20代と比較すると難しくなることが想定されます。ただし、全体の年齢層で比較すると、特に困難であるとはいえないのではないでしょうか。

独身と既婚で転職がしやすいかどうかについては、応募先の企業によっても異なるでしょう。ただし、現在に日本では、働き方改革や男女雇用均等法にもあるように、企業にとって、その人の属性や婚姻の状況などによって差をつけることは重大なリスクになっていることは事実です。

今は入職しやすい環境?

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(引用元:厚生労働省 平成30年雇用動向調査結果の概要 図1-3 性別入職率・離職率の推移)

近年は、少子高齢化による企業の人手不足が注目され、新入社員の就職や現職者の転職市場は需要が高くなっていることが予測されますが、今の日本は、入職しやすい環境なのでしょうか。

上記の表は、厚生労働省の平成30年雇用動向調査結果の概要から、男女別の入職率と離職率を年次の経過が分かるようにグラフ化したものです。

ここで、表示されている入職率とは、企業が新たに採用した人数を平成30年1月1日現在の常用労働者数で割った割合で、離職率は、離職や退職などをした人数を平成30年1月1日現在の常用労働者数で割った割合です。

女性の折れ線グラフを年次別にみてみると平成17年からほぼ重なりを見せていた入職率と離職率が、平成24年頃から入職率が離職率を上回りはじめ、差が拡大しながら、ここ数年は一定の割合の幅で推移しているのが分かります。グラフから推測すると今は入社しやすい環境にあることが推測されます。

30歳独身女性の転職のポイント

30歳独身女性の転職のポイントには次の4点があげられるでしょう。

ライフプラン、ライフワークバランスを考える

自分自身のライフプランや、ライフワークバランスを考えることは仕事選びの基本です。それらを考える中で、今より安定した業界や企業、自分に合った職業などを選ぶと良いでしょう。

厚生労働省の平成30年雇用動向調査結果の概要の中でも、前職を辞めた理由として、会社の将来への不安や労働条件が悪いといった理由が見られました。

収入アップを目指す

支払われる給与は転職を考える重要なポイントです。厚生労働省の平成30年雇用動向調査結果の概要の中でも、前職を辞めた理由として、給料などの収入が少ないことをあげている転職者の割合が高いことからも現実的な重要さが分かります。

女性が活躍できる職場環境の企業を探す

近年の働き方改革の推進から、女性が活躍できる職場環境を経営のテーマに掲げている企業が多く出てきています。転職時には、新しい職場で女性が置かれている環境をチェックしておくのも大切です。

人手を求めている業界を狙う

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(引用元:厚生労働省 平成30年雇用動向調査結果の概要 図3 産業別入職率・離職率)

人手を求めている業界を狙うことも、転職を成功させるポイントになります。

上記は、厚生労働省の平成30年雇用動向調査結果の概要に載っている産業別入職率・離職率のグラフです。白い棒グラフが入職率で色がついている棒グラフが離職率です。入職率と離職率がともに高い「宿泊業・飲食サービス業」「サービス業」などの企業は、多くの人材が必要ですが、離職率も高い業界ということになります。

入職率が離職率より高くその差が大きい「生活関連サービス業・娯楽業」「不動産業・物品賃貸業」などの企業は人手を求めており、かつ社員が比較的定着しやすい業界であることが予測されます。

35歳以降で転職の市場価値を上げるには?

35歳以降で市場価値を上げるためには、まずは今までの経験とスキルを棚卸して、現在の市場価値を正確に把握することが重要です。自身の経験とスキルを十分に把握できたら、その経験とスキルを活かせる企業や業界を探すことが次のポイントになります。

必ずしも、前職と同一の職種や業界だけが自分の経験とスキルを活用できるわけではありませんので、異業種や異業界を含めた広い範囲で企業を探すことが、数多くの転職先を探すためには必要です。

35歳であれば、経験とスキルは豊富なはずです。自分のスキルと経験を明確に把握し、明確に相手に伝えられるようにしておくことが、転職市場で市場価値を高める手段となります。企業は35歳の求職者には第一に即戦力としての価値を求めるのです。

転職エージェントへ相談するのはどうか

自分で経験とスキルを活かせる企業や業界を探すことが難しい場合や、転職のためのノウハウなどのアドバイスが必要だと感じたならば、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。転職エージェントを利用することは、転職のプロとともに求人を探すことになり、企業からのスカウトや未公開求人の紹介を受けることもできます。

悩みを解決して新しい自分になるために転職をスタートする

過去と比較すると。35歳独身女性の転職を取り巻く環境は決して悪くないことがデータから想定されます。現在の職場で、悩みを抱えているならば、転職も一つの選択になるでしょう。まずは自分の市場価値を探ってみてはいかがでしょうか。転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。

文・小塚信夫(ビジネスライター)/fuelle

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