記事は2020年1月21日発売の『ZUUonline magazine』3月号に掲載されている特集からピックアップしています。
中学生で株デビューという超早熟のかぶ1000さんは、「かぶ1000流ネットネット株」という資産バリュー株に照準を絞り、一貫したスタンスでコツコツと億超えの資産を形成してきた。
かのバフェットの師匠が考案した手法をアレンジ
14歳から40万円を元手に株式投資を始めたが、最初から順調に増やせていたわけではない。20代のころは、まだ自分なりの投資スタイルが確立できておらず、フリーマーケットで安く仕入れたものをマニアに高く売る転売で食いつないでいた。しかし、1997年にタイをはじめとするアジア諸国の通貨が暴落。このアジア通貨危機で世界的に株価が急落し、これはチャンスではないかと思った。
もっとも、確信までには至らず、なかなか手を出せない。自分の勉強不足がその理由だと痛感し、投資関連の書籍を読み進めていく。そんな中で、ベンジャミン・グレアムの著書『賢明なる投資家』に強い感銘を受けた。「バリュー投資の父」と称されるグレアムは、かのウォーレン・バフェットの師匠でもある。
「長期的に見れば、割安株は高いパフォーマンスをもたらす」―。グレアムのこの教えをもとに、「通貨危機に“ツレ安”している日本株はお買い得かも?」という漠然とした思考は整理されていった。そして、グレアムの考案した「ネットネット株」という手法に改良を加え、自分自身の投資スタイルを確立した。
ベースとなったグレアムの「ネットネット株」は、流動資産から貸倒引当金や負債を差し引いたものを「正味流動資産」と定義し、その3分の2に相当する金額が時価総額よりも大きければ投資対象として有望と判断している。しかし、現金及び預金、受取手形・売掛金、有価証券とともに棚卸資産も流動資産にカウントしていたことに疑問を感じた。