『グーグルの親会社、時価総額1兆ドルクラブの仲間入り』そんなヘッドラインがブルームバーグに流れたのは1月17日のことだった。米IT大手グーグルを傘下に置くアルファベットの時価総額が初めて1兆ドルを突破、米国企業としてはアップルやアマゾン、マイクロソフトに続く4社目の「1兆ドルクラブ」入りとなった。
ウォール街でもグーグル(アルファベット)は何かと話題に上る企業だ。後段で述べるようにグーグルは収入の8割超を広告に依存しているが、新たな収入源としてクラウドサービスや医療AI等に挑戦する姿勢を示し、市場関係者の耳目を集めている。また、それまで謎に包まれていたユーチューブなど部門別の売上がベールを脱いだことで透明性の向上を評価する声も聞かれる。
ちなみに、アルファベットの株価といえば過去10年「奇数年は好調で偶数年は低調」というアノマリーが知られている。果たして2020年はアノマリーを破る年になるのか? グーグルの最新動向をお届けしよう。
クラウド部門が好調、広告依存からの脱却へ?
グーグルの親会社アルファベットの2019年10~12月期決算は増収増益となった。純利益は前年同期比19%増の106億7000万ドルと市場予想(88億ドル)を大きく上回ったが、売上高は17%増の460億8000万ドルで市場予想(469億ドル)に届かなかった。
増収増益ながら売上が予想に届かなかった一因として広告収入の伸び率鈍化が指摘される。2019年の広告収入の伸び率は16%弱にとどまり、2018年の22%増から鈍化した。前述の通り、グーグルの収入全体に占める広告の比率は8割を超えており、ウォール街の市場関係者からは「新たな収入源を確立し事業ポートフォリオを変革することが課題」(アナリスト)とも指摘されている。
そうした中、新たな収入源の一つとして注目されるのがクラウドサービスだ。ウォール街では今回初めてクラウド部門の詳細が発表されたことで、その注目度も俄然高まった。2019年10~12月期のクラウド部門の売上高は21億6000万ドルで、アルファベット全体からするとまだ小さな数字である。とはいえ、クラウド部門の2019年の増収率は53%と前年の44%から勢いを増している。広告収入の伸び率が鈍化する中、「クラウド部門が今後の業績の鍵を握っている」(前出アナリスト)との声も聞かれる。