今後年金は減額されていく可能性が高いと言われているため、「自分の資産は自分で守る」という意識が大切になります。これには「今ある資産を増やしていく」ことも含まれますが、その方法として不動産投資は有力候補と言えるでしょう。

不動産投資では、基本的に資金を借り入れて不動産を購入し、得られる家賃収入からローン返済額と運営経費を差し引いた金額が手元に残ります。

資金を借り入れて物件を購入することが不動産投資の主流になっています。「フルローンで不動産オーナーになれる」という営業トークもあり、現金を使わずに不動産を購入することが良いことであるような風潮さえあります。

手持ちの現金以上の物件を手に入れられるのが不動産投資のメリットですが、現金を潤沢に持っている人はさらに有利な資産運用が可能です。

今回は、不動産投資において現金を保有していることの優位性についてお伝えします。

現金は「王様」

現金マネジメント,不動産投資
(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

不動産投資において、現金は「王様」と言えます。

不動産投資で成功するためには、「いかにして優良物件を購入するか」「いかにして有利な条件で融資を受けられるか」が重要であり、これらと現金残高は密接に関係しています。

物件を全額現金で購入できる不動産投資家がいた場合、多くの業者は優先的に物件を紹介するでしょう。全額現金購入であれば融資審査を受ける必要がないため、物件を紹介してから購入するまでのスピードが早く、取引も成立しやすいからです。

また、銀行はよりリスクが低い投資家には金利を低く、融資期間を長くし、リスクの高い投資家に対しては金利を高く、融資期間を短くする傾向があります。現金を潤沢に持っていれば銀行からは優良顧客とみなされ、低い金利かつ長い融資期間で借入ができる可能性が高くなります。その結果、キャッシュフローが良くなることが多いのです。

このように、不動産投資において現金を持つことは、優良物件と有利な融資条件を手に入れるための重要な要素です。よって、貯蓄額を増やしておくことは非常に重要と言えます。

現金の効果的な使い方

では、現金をどのように活用すればいいのでしょうか。これには不動産賃貸経営者としての手腕が問われる部分です。今後不動産投資をどの程度まで拡大しようとしているかによっても現金の活用方法は変わります。

例えば、現金を2,500万円保有し、不動産投資で年間100万円のキャッシュフローを得ることを目標としている人が、物件価格2,000万円の利回り8%の木造アパートを買うとします。

購入方法としては、「全額を現金で購入」「一部を現金で支払い、残りは融資を受けて購入」「フルローンで購入」の3つが考えられます。

経費が3%だとすると、全額現金で購入すれば年間100万円以上のキャッシュフローを得られるので、それもありでしょう。

しかし全額現金で購入してしまうと、手元の現金は500万円になってしまいます。現金を2,500万円保有していた時と比べると、業者から優良物件の情報が入ってこなくなったり、その後新たに購入する物件の融資条件が悪くなったりする可能性もあります。

安全性を求めるなら、現金は多く支払ったほうがいいでしょう。しかし規模を拡大していきたいのであれば、現金はできる限り手元に残しておく方が得策と言えます。

現金が数十億円あれば複数の物件を全額現金で購入できますが、ほとんどの人は限られた現金を運用しなければなりません。不動産投資においては、現金を保有していることで得られるメリットが多いため、「リスク軽減のために一部を現金で支払う」といったバランス感覚が求められます。

いずれにしても、現金が手元にないと不利になったり、厳しい状況に追い込まれたりする可能性が高くなるので、まずは現金を貯蓄することから始めましょう。(提供:YANUSY

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