JPモルガン・アセット・マネジメントは、最新の 「退職への指針」 を発表した。現在の市場の混乱を懸念している退職した、あるいは退職間近の顧客とアドバイザーへの重要な注意事項が含まれている。
過去2週間半にわたり経験したような大暴落やその後に、保有株式を現金化すべきではない。
2000年1月3日から2019年12月31日の間にS&P500種Total Return Indexに1万ドルを投資し、年間収益6.06%を稼いだ場合、20年間で3万2,421ドルに増加するが、最も利益の良い日のうちの10日または20日が失われた場合、利益は半分以下になる。最も利益の良い日のうちの10日が失われた場合は約1万6,000ドル、20日が失われた場合はわずか1万0,167ドルになる。もし投資家が最も利益の良い30日から60日の間に市場から消えていたら、約2%から7%の損失を出していただろう。
「取引に最良の日は、最悪の日の近くにある」
さらに最悪の取引日が最高の取引日に近いのは珍しいことではなく、損失が大きい時に株を手放し、すぐに戻ってこないと悲惨なことになりかねない。20年間のS&P500種の最も利益の良い10日のうち6日は、最低の日の10日から2週間以内に発生した。2015年には差はさらに縮小した。最悪の日は8月24日、最高のパフォーマンスを見せた日も8月24日だった。
最近では、2018年のクリスマスイブに、S&P 500種は2.7%下落した。2日後、クリスマス明けの最初の取引日には、1日で最高の5%の上昇率を記録し、金融危機後の2009年3月以来の強気相場が始まった。
JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・リタイアメント・ストラテジスト、キャサリン・ロイ氏は 「投資戦略を維持することは、利益をもたらす。不安定さを緩和する」 と述べた。また同氏は、投資家が市場の資金不足を緩和するため、3カ月から6カ月分の緊急資金を用意しておくことを提案した。
アメリカン・カレッジ・オブ・ファイナンシャル・サービシズ退職年金専門家であるWade Pfau氏、Steve Parrish氏、David Littell氏も同様に、退職後のポートフォリオ残高が退職初日の水準を下回った場合には、必ず余裕資産から引き落とすよう投資家に推奨した。
また、投資家が市場が調整すると信じている場合や、現在の状況が収入に悪影響を与えている場合、「Roth IRA (より低い税金を払う個人年金) への変更を行うのに良い時期かもしれない」 と指摘した。
ロイ氏によると、投資家は定年前の早い時期にRothへの移行を (現在の年齢は72歳で退職法のおかげで70歳半ではない) 検討すべきだという。
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