「ぴあ株式会社」は、コロナの影響を強く受けている。売上は150億円減となる見込みで、営業利益や純利益などの下方修正も発表した。展示会・イベント業界の損失を含め、現在の「ぴあ」の経営状態について詳しく見ていこう。

コロナの影響でチケットぴあが赤字寸前へ

チケットぴあ,赤字
(画像=Cat Box/Shutterstock.com)

チケットぴあを運営する「ぴあ株式会社」は3月19日、「特別損失の計上、通期業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」と「資金の借入に関するお知らせ」を同時に出した。

業績予想の修正では、2020年3月期通期(2019年4月1日~2020年3月31日)の売上高・営業利益・経常利益・純利益の予想をすべて下方修正した。売上高は前回予想から150億円減の1,650億円に留まる見込みで、純利益は7.2億円減の1億円まで下がる見通しだという。

ぴあの前期の最終損益は8億1,700万円の黒字であり、今期も8億2,000万円の黒字を計上するはずだった。ところが、予想を大幅に下方修正することになってしまった。その要因は、新型コロナウイルスの感染拡大である。

ぴあはお知らせの中で、政府の自粛要請などによって興業市場が急速に縮小し、第4四半期(2020年1~3月)の売上高が急速に落ち込んだことを挙げている。そのほか、全国での興業の中止・延期によってチケットの払い戻し対応が必要になり、それによって3億円の特別損失を計上する見通しになったと説明している。

コロナの長期化に備えて最大150億円の借入でキャッシュを確保

同時に発表した資金の借入については、最大150億円を取引先の金融機関13社から借り入れるというものだった。借入実行日は今年3月以降とされ、借入期間は6ヵ月から1年を予定しているという。

今回の借入は、新型コロナウイルスに絡むものだ。同社は、現在の運転資金については問題がないとしながらも、「万一、今般の新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、今後の売上が継続的に減少した場合などに対処すべく、これらを適切に実行に移し、早期に資金繰りの万全を期すもの」と説明している。

新型コロナウイルスの終息は、まだ見えていない。国がいつまでイベント自粛要請を続けるかもわからない。長期化に備えた今回のぴあの借入は、妥当であろう。イベント自粛が半年、もしくは1年以上続く可能性は十分に考えられるからだ。

3,000億円規模の損失!ライブ・エンタメ業界の損失が「ぴあ」にも影響

最後に、新型コロナウイルスによって中止・延期が決まっている主な大規模イベントを紹介しよう。東京オリンピック・パラリンピックを含むスポーツイベントのほか、多くのアーティストのライブも中止になっている。海外では、世界最大級のゲーム見本市「E3」が中止になったことも話題になった。

イベント名 当初の予定日など
東京五輪 2020年7月24日~8月9日
ウィンブルドン 2020年6月29日~7月12日
日本ラグビー選手権 2020年5月23日・30日
体操W杯東京大会 2020年4月4~5日
プロ野球 2020年4月24日開幕の予定
Jリーグ 公式戦再開は5月下旬から6月上旬
EXILEライブ 2020年4月末までの公演中止
ゲーム見本市「E3」 2020年6月9~11日

ぴあ総研は新型コロナウイルスによるライブ・エンタメ業界へのダメージが、日本国内だけで3,300億円規模(3月23日までの数字)に上ると推計している。終息が見えない中、各業界では厳しい状況が続くことになりそうだ。

ちなみに、国際見本市連盟(UFI)は展示会・イベント業界において、1.7兆円規模(3月10日までの数字)の損失が出ていると発表している。

日本だけでなく、世界中で様々なイベントがコロナウイルスの影響で中止または延期になっている。どこまでこの混乱が続くかは、わからない。今後も感染が拡大すれば、イベント業界への打撃は計り知れない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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