『食べる投資』の著者である満尾正氏へのインタビュー前編では、ビタミンDの話を中心に、新型コロナウイルス対策について語ってもらった。その中でキーワードとなったのが「免疫力」だった。

満尾氏のクリニックで目指しているのは、一般的な健康診断が目的しているような「病気の早期発見」などではない。やる気に満ちた毎日を送り、ビジネスにおける生産性を向上させて、最高のパフォーマンスを出すための「健康への投資」である。

その方法が、新型コロナウイルス時代に必要な「免疫力」とも大きく関わっているのである。後編では、クリニックで行われている診療の詳細を伺った。(聞き手・くすいともこ、撮影・森口新太郎)

『食べる投資〜ハーバードが教える世界最高の食事術』
『食べる投資〜ハーバードが教える世界最高の食事術』
ハーバード大学で最新の栄養学を研究し、日本初のアンチエイジング専門クリニックを開設した医学博士、満尾正医師による、最新の栄養学の知恵をまとめた一冊。ハイパフォーマンスに必要な栄養と、それを得るための食事について、実際のレシピを写真といっしょに紹介しながら解説。あなたの心身を生涯守り、最大のリターンである「ハイパフォーマンス」を得るための「食べる投資」を紹介する。
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決断力に影響を与える男性ホルモン

『食べる投資』著者に聞く・後編
(画像=森口新太郎撮影,ZUU online編集部)

――アンチエイジング治療の流れを教えてください。

まずアンチエイジングドックを受けていただきます。毛髪中の有害金属を調べるなど、普通の人間ドックにはない特有の検査項目をご用意しています。詳細は『食べる投資』をご覧いただきたいですが、具体的には下記のような項目です。

・ホモシステイン
・ビタミンD
・GPT(グルタミン酸ピルビン酸転移酵素)
・亜鉛
・無機リン
・ヘモグロビンA1c

例えば、魚の脂、EPAが足りませんねとか、ビタミンDが欠乏状態ですね、とか。主なところでは、男性ホルモンの原料であるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)や、フリーテストステロンですね。男性ホルモンは決断力に影響がありますから、男性経営者にとって維持することが非常に重要です。

アンチエイジングドックで自分の本当の姿を知っていただき、異常があれば是正するということが治療の流れです。

――基本的には、食事の改善と考えてよろしいでしょうか?

食事の改善で事足りる人と、足りない人がいます。足りない場合は、サプリメントを使います。例えば、ビタミンD。どんなに食事で頑張っても追いつきません。ですから、どうしてもサプリメントになります。

――アンチエイジングドックを受けられた後も定期的に通院されるのでしょうか?

はい。ドックで満点の人は年に1回でいいんですが、そういう方はほとんどいません。サプリメントを服用して2〜3ヵ月後にもう一度採血を行って、適正値に戻っているか確認します。徐々にサプリメントの効果が出てきますから、適正値になれば、その後は半年に1回、または1年に1回、検査だけを受けに来る人がほとんどです。

会食続き、ストレス多く……悩み多き経営者

――顧客層はどのような人が多いでしょうか?

経営者やその奥さまがほとんどです。平均年齢は65歳前後、男女半々ですね。

――経営者に多いお悩みがあれば、教えていただけますか?

夜眠れないとか、メタボ系の問題とか。初老期のうつ病的なものもありますが、うちで一番多いのは動脈硬化、血圧、心臓血管の問題ですね。

――なぜこのような悩みが経営者に多いのでしょうか?

忙しい、運動する時間がない、経営のいろいろなストレス、後は美食ですよね。経営者の方というのは会食が多い方が少なくありません。

皆さんご存知の通り、おいしいものというのは往々にして高カロリー、高塩分、高糖質、高脂質です。そのような食事が週に5、6回と続くとどうしても栄養が偏り、カロリーを過剰摂取します。

――会食が多い中で食事の改善はなかなか難しいのではないでしょうか?

おっしゃる通り、よっぽど自分をコントロールする力がないと難しいと思います。経営者の人で絶対会食しないという人もいますが、そういった方はごくまれです。

当クリニックがお手伝いしているのは、体の健康状態を可視化し、足りない栄養素はここだから、こういう風に補っていきましょう、というアドバイスです。

経営状態はPLやBSを使って、数字で表しますよね。それと同じで、アンチエイジングドックではご自身の体のデータが全部数字で出てくるわけです。

「血液データは嘘をつかない」という言葉があるんですけど、サプリメントを飲んでコントロールすると、データが改善していくわけです。逆にサプリメントをサボると元に戻ってしまう。いい悪いじゃなくて、自分の体をどうやってコントロールしていくのか、いわばマネージメントです。経営マネージメントとよく似ていると思います。

経営のように健康を「モニタリング」し、「コントロール」する

――実際、患者さんからどのような効果を聞きますか?