不動産投資にはさまざまな指標があります。表面利回りや実質利回り、ROI(投資利益率)など、多くの人がすでにご存じのものも多いでしょう。これらの指標は不動産投資の健全性や成功度、物件の収益力などを示しています。

不動産投資は融資を利用することでレバレッジを効かせられるため、投資効率を高められることはよく知られているメリットの一つです。その「投資効率」を知るために有効なのが、今回、解説する「CCR(Cash on Cash Return)」です。CCRを理解すると投資判断に役立つので、概要や計算方法、CCRを使った投資効率の計測方法について解説していきます。

CCRとは?

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(画像=ImageFlow/Shutterstock.com)

CCRとはCash on Cash Returnの略で、日本語では「自己資金配当率」と訳されています。不動産投資では「自己資金」と、融資によって調達した「借入金」という2種類の資金を使って物件を購入するのがセオリーです。自己資金と借入金の合計に対する賃料収入の比率が利回りであるのに対して、CCRはこのうち自己資金に対する賃料収入の比率を示したものになります。

平たくいえば、「自己資金に対する利回り」です。CCRの概念は、不動産投資以外の投資ではあまり使われることはありません。なぜなら、不動産投資には自己資金に加えて借入金という他人資本を活用することでレバレッジ効果を生む特性があるからです。CCRが高いということは、その不動産投資は投資効率が高く、早期に自己資金を回収できることを意味します。

CCRの計算方法

CCRの計算式は、以下の通りです。

  • キャッシュフロー ÷ 自己資金額 × 100 = CCR(%)

利回りと似た計算式ですが、CCRの場合は分母が物件の購入費用総額ではなく自己資金です。求められた数値に100をかけることでパーセンテージ表示にして表記されます。例えば、1億円の収益物件を自己資金2,000万円と借入金8,000万円で購入、毎年200万円のキャッシュフローが得られている場合、CCRの計算式は以下の通りです。

  • 200万円(キャッシュフロー)÷2,000万円(自己資金額)×100=10%

この物件のCCRは10%となり、単純計算では10年後に自己資金を回収できることになります。

CCRを活用して不動産投資の効率を計測する

不動産投資家は、CCRをどのように活用すれば良いのでしょうか。基本的に「CCRの高い投資を目指すべき」とされていますが、その理由は以下の3つです。

(1)レバレッジ効果が高く資金効率の良い投資といえる
(2)融資額の大きさは投資家の信用力の高さを示している
(3)多くのキャッシュを手元に置いておけるので投資家の自由度が高くなる

特に3つ目は、不動産投資家にとって非常に重要なことです。仮に、自己資金だけで物件を購入できる状況にあったとしても、多くの不動産投資家は融資を利用します。なぜなら、手元にキャッシュを残しておくことで、予想外の出費に対応できたり、他に良い物件に出会ったときに購入資金に充てられたりと、投資家の自由度を高めてリスクの軽減につながるからです。

またCCRは投資効率だけでなく、「自己資金をいかに早く回収できるか」を計測するのにも役立ちます。購入を検討している収益物件において、資金計画の通りに融資を受けられればCCRを算出できます。そうなれば、CCRによって「何年で自己資金を回収できるか」がシミュレーションできるのです。では、「CCRが高ければ高いほど良いのか」というと、必ずしもそうとは言い切れません。

なぜなら、「CCRが高いということは同時に借入金の占める比率が高い」ことを意味しているため、返済金の総額が大きくなるからです。手元にキャッシュを残すことができるとはいえ、返済コストが大きくなりすぎると投資家の自由度がそれほど高まらない可能性もあります。CCRが高い=レバレッジの高い投資は、その分リスクも高くなるのです。

不動産投資には空室リスクが付きものですが、空室率が高くなると返済コストが大きな負担になるため、最悪の場合は物件を手放すことを余儀なくされる恐れもあるわけです。

CCRは投資効率と自己資金の回収力を知るうえで有効な指標です。しかし、CCRを高くすることばかりを重視してしまうと投資全体のリスクを高めてしまいかねないため、その点も留意したうえで使うのが正しいCCRの活用方法です。(提供:YANUSY

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