新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化していることを受け、イタリアンレストランを運営する外食大手のサイゼリヤが、2020年8月期の純利益予想を約4割も下方修正した。売上が微減という外食チェーンもある中、サイゼリヤはこの局面をどう乗り切るのだろうか。
サイゼリヤ、今期の純利益予想を41.7%下方修正!
サイゼリヤは4月8日に2020年8月期(2019年9月1日~2020年8月31日)の業績予想の下方修正を発表しており、「売上高」「営業利益」「経常利益」「純利益」のすべてが前回発表よりも悪化している。具体的な数値は、以下のとおりだ。
売上高:1,527億円(前回発表比5.2%減)
営業利益:66億円(同34.7%減)
経常利益:72億円(同30.8%減)
純利益:35億円(同41.7%減)
このままいけば、いずれの数字も前期(2019年8月期)を下回ることとなるだろう。
原因は中国での約300店舗休業――各都市で売上70~84%減
業績の下方修正は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が主な理由だ。
同社は中国を中心にアジアでの出店に力を入れ、良い結果を残してきた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が中国で起き、中国国内における330店舗の大半が一時休業を余儀なくされ、中国での売上が急激に落ち込んだ。
2020年3月度の売上高は、上海の141店舗では前年同月比29.2%、広州の108店舗では27.2%、北京の81店舗では15.3%となっており、各都市で70.8~84.7%の売上減となっている。
一部店舗を除いて営業が再開されているが、外出自粛や消費マインドの冷え込みは今も続いている。中国の全店舗の営業が再開されたとしても、以前の売上水準まで戻るには時間がかかるだろう。中国で「第2波」が起きれば、業績に与えるマイナスインパクトはさらに大きくなる。
売上微減の企業もある中、サイゼリヤの3月度の既存店売上高は前年同月の78.5%
日本国内の店舗の売上減も同社を苦しめている。特に2月末以降に影響が大きくなり、リモートワークの推奨や外出自粛で、3月度の既存店売上高は前年同月比78.5%に留まった。最終損益は赤字にはならない予想だが、仮に終息まで1年以上かかることになれば、翌年度の業績はより厳しくなる、
一方で、飲食業界には新型コロナウイルスの影響を最小限に抑えている企業もある。大手カレーチェーンを運営する壱番屋は、2020年3月度既存店売上高の前年同月比90%台を維持。吉野家や松屋などの牛丼チェーンも、90%台をキープしている。テイクアウトや宅配などに対応したことが、ダメージを小さくすることに寄与していると考えられる。
サイゼリヤも、4月21日にテイクアウトの対象商品を拡大することを発表している。定番のパスタからおつまみ、ピザ、パン、デザートまで、28メニューが対象だ。この施策によって、同社の売上高は多少持ち直すかもしれない。期間は5月6日までとしているが、外出自粛要請が長引けば期間を延長することになるだろう。
ウィズコロナにおいて難しい舵取りを迫られる経営陣
これまで、売上高を伸ばし続けてきたサイゼリヤ。「アフターコロナ」は、客足は戻るだろう。そのためには、この「ウィズコロナ」期を何とか堪え忍ぶしかない。キャッシュフローを含め、経営陣は難しい舵取りを迫られている。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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