(本記事は、小田 全宏氏の著書『頭のいい人の脳の使い方』あさ出版の中から一部を抜粋・編集しています)
成長のバネにも行動のブレーキにもなる「不満」のマネジメント
私たちの脳の中にはたくさんの「不満」が充満しています。その領域は様々で、「時間」「お金」「人の協力」「自分の能力」「環境」など、きりがありません。
不満が成長、発展のためのバネになるといいのですが、実際は、大多数の人にとって、「これがあったらよかったのに(これがないからできないんだ)」と、思考を止めてしまい、行動や成長をストップさせるブレーキとなってしまうため、マネジメントが必要です。
不満の対処法には、大きく3つのパターンがあります。
1 「陽転思考」で行動のブレーキではなくバネにする
何かしようとする時、「お金がないから(お金があったらできるのに)」「時間がないから(時間があったらできるのに)」「能力がないから(能力があったらできるのに)」などと自分を正当化してサボろうとしたことはありませんか?
これは人の脳の特性です。脳は、基本的に怠け者なのです。
しかしこれでは、前に進むことはできません。
では、どうすればいいのでしょう。
それは、物事を「陽転思考」で考えることです。
「コップの中に、『水が半分しか入っていない』と見るか、『まだ水が半分も入っている』と見るかによって、人生が根本的に変わってくる」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。この後者の視点が、「陽転思考」です。
「ない面」ではなく「ある面」に意識を向けるのです。
もし何かが足りなくても、「○○がないから、するのは難しいなあ」と考えるのではなく、「○○がなくても、できる」に変えてしまうのです。そうすることで、不満は行動のブレーキではなく、自分への発奮材料となっていきます。
2 目の前にあるものを喜びの心とともに味わう癖を持つ
「うれしい」「楽しい」「おいしい」「ワクワクする」「満足だ」などの「プラスの感情を表す言葉」を頻発させると、脳にプラスのエネルギーを送ることができます。
先日、北海道・千歳空港で食事をしていると、隣の席に女性の2人連れがやってきました。注文を終えるなり、「私たち、北海道を堪能しすぎてるねー!」と楽しそうに話し始めました。聞くとはなしに聞いていると、「アイスクリームを食べた」「ジンギスカンを食べた」など、さして特別なことを体験してきたわけではないようなのですが、「満喫した」「堪能しすぎ」という表現のオンパレードになんだか私も楽しい気持ちになりました。
人はつい、「もっともっと」とより上を求めようとする習性があります。
しかし、「もっともっと」と求めている限り、常に追いかけることになり、できたこと、楽しかったことなどがあるはずなのに、それに目を向けることなく、いつまで経っても満足することはできません。そして、不満ばかりが溜まっていきます。
立ち止まって周りや起きたことなどに目を向ければ、素晴らしい瞬間が満ちていることに気づくはずです。目の前のことをきちんと味わい、喜びを感じ、プラスの言葉を使うことによって、不満感情を止め、プラスのエネルギーを起こすのです。
3 注がれる愛情に「ありがたい」で返す
人間が持つ不満の源泉は、その多くが「自己承認の欠如」です。
往々にして、自己評価と他者評価は、かなりのレベルで開きがあります。自己評価は、真実の姿よりもかなり高く設定されている場合が少なくありません。
他人から、(自分が思うより)不当に低く扱われたり、低い評価を受けたりして、「こんなはずではなかったのに」「なんでわかってくれないんだ」などと、不満を抱いたり、面白くないと感じたことはありませんか。
ですが、他人のあなたに対する扱いこそが、あなたの今の真実の姿です。
ショックかもしれませんし、不満を抱きたくなるかもしれませんが、そこで止まっていては何も変わりません。「無意識の不満」が溜まり続ける人生となってしまいます。
一方で、今のあなたに対し、愛情を注いでくれる人々もいるはずです。その方たちに対し、「ありがたい」と感謝の心を持ちましょう。そうすることで、愛情をきちんと受け止めることになり、結果、それが脳の中でエネルギーになります。
不満は、どこまでも増幅してしまう怖いものです。
あなたが何かをしようとする時、「足りない」という思いが出てきたら、すぐに払拭し、「今、自分は満ちている」と意識を切り替えることです。言葉にして言い聞かせてもいいでしょう。
それだけで、状況は変わらなくても、その中でよりよい脳のパフォーマンスが生まれます。
自分が置かれている環境と時間を、喜びと感謝の心で満たす。それが、力強い今日の一歩を踏み出す原動力になります。
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