要旨

消費
(画像=PIXTA)
  • 総務省「家計調査」によると、2020年4月の二人以上世帯の消費支出は前年同月比で実質11.1%減少した。内訳を見ると、4月は緊急事態宣言が発令されたことで、3月と比べて一層、外出型消費が減り、ほぼ消えたと言っても過言ではない状況だ。
  • 巣ごもり需要は引き続き堅調だ。特にテレワーク関連需要が3月より色濃くあらわれている。パソコンやネット接続料の支出が一層増え、パスタや即席麺、電子レンジの支出も増えるなど、テレワーク中の手軽なランチ需要もうかがえる。チューハイ・カクテルや生鮮肉の支出も一層増え、家の中での食事を充実させる傾向もある。
  • 鉄道や航空運賃などの交通関連の支出は大幅に減ったが、自動車や自転車の購入が増えており、近場の移動などの代替手段となっているようだ。現在、徐々に通勤や外出が再開されているが、未だウイルスの脅威は去っていない。一定層は引き続き、公共交通機関から自家用車や自転車の利用へとシフトすることが予想される。
  • 6月以降は、経済活動の再開に伴い、外食や交通などの外出型消費がやや増える可能性がある。しかし、ワクチンなどの科学的な解決方法が登場しない限り、外出型消費は元に戻らずに、消費全体として低迷が続くだろう。また、今後は家計収入の減少や先行き不安から、必需性の高い消費以外は控える消費抑制傾向が強まる懸念もある。
  • 一方で、暮らしが激変したことで消費構造や生活時間の構造も変わり、新たな需要が見込める領域もあるだろう。今、企業活動に求められることは、消費者の価値観や需要変化を丁寧に捉え、ビジネスのデジタル化を加速させることだ。