※本連載は日本でまだ翻訳されていない海外のビジネス書を紹介しています、書籍タイトルは著者による翻訳です

お金を使うということは、消費し、獲得し、生活することである。つまり、人間として社会生活を送る営みそのものが、お金を使うという行動と結びつき、成り立っている。

この本は、よくあるサクセス・ストーリーや成功のためのハウツー本ではない。もっと生活に即した、人間らしいお金のテキストなのである。

Real Life Money『リアルライフ・マネー』
クレア・シール著
出版社:Headline Home
発売日:2020年5月14日
ジャンル:ビジネス書

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書籍概要

お金と生活は密接に紐づいている。その人がどこに住み、誰と暮らし、子どもは何人でどのような生活をしているのか、どんな性格なのか。消費活動にはこのような情報が全て隠されている。お金の使い方を見れば、その人の人生が見えてくるのだ。 その上で、本当に良いお金との付き合い方を知ることは、人生を豊かにする手がかりとなる。正しくお金を使うことができれば、人生を正しい方向へ導くことができるのである。

書籍では、借金返済に向けたプランを例に話が進められていく。債権者とどのように交渉するのか、自分の生活を切り詰めすぎることなく、現実的な計画を立てるにはどうしたら良いのかなど、具体的かつ意味のあるアクションプランが多数盛り込まれている。 これは、現実問題としての借金を減らしていくだけでなく、金銭問題を契機に生じる不安や無力感といった、パーソナリティの問題をも解決しうるアプローチである。

既に書店に無数に並んでいるお金のハウツー本と何が違うのか。それは、この書籍の目指すゴールである。 一夜にして億万長者になる方法ではない。草の根をかじるような生活をしてお金を貯める方法でもない。自分の消費活動を見つめ直し、なぜそのような行動を行ってしまうのか、なぜそのように感じるのかを理解することが、クレア・シール氏の目指すゴールである。 それを理解し、その傾向に対する理解を生かして、本当に実現可能で意味のあるお金との付き合い方を見出していく。 それにより、読者の消費行動は健全化され、人生も健全に、豊かに変えていくことができるのだ。

この本をおすすめする読者層

借金返済を題材に描いているため、「自分とは違う、より状況が悪い人のための本」と感じてしまう人がいれば、それは大変もったいないことである。 この書籍は、借金を返済する方法を述べているわけではない。むしろ、お金と消費行動に関する人々の思考や行動の傾向を見出し、理解するための方法に重点が置かれている。 その結果として、人によっては借金返済というゴールが近づくことはあるだろう。他の人にとっては、可処分所得が増えるかもしれないし、支出における有効な自己投資の割合が増えるかもしれない。

この書籍には、たくさんのお金を生み出すための魔法のような方法や、膨大な借金を返すための裏技は紹介されていない。 現実的に暮らす人々の生活に即した、生きたお金の使い方に関連した情報だけが述べられている。「リアルライフ」でお金を使い、消費行動を行って暮らしている我々すべてが手に取り、学ぶべき書籍の一つであると言える。

著者について

クレア・シール氏の最初のアクションは、Instagramへの匿名の投稿であった。わずか1年で45,000人のフォロワーを獲得した後は、金融分野について、多くのメディアで様々な情報を発信し続けている。