※本連載は日本でまだ翻訳されていない海外のビジネス書を紹介しています、書籍タイトルは著者による翻訳です

アメリカンドリーム…それは、すべてのアメリカ人、あるいは成功を目指す世界中の人々が夢見る憧れの象徴であった。多くの人々がアメリカンドリームの実現を目指し、夢を追いかけ、時に挫折し、時に夢見た通りの大きな成功を手にしてきた。

そして、世界中のボーダーがなくなりつつある現代。新しい時代におけるアメリカンドリームは、どのような姿を描いていくのだろうか。

Reprogramming the American Dream『アメリカンドリームの再プログラミング』
ケビン・スコット著
出版社:Harper Business
発売日:2020年4月7日
ジャンル:ビジネス書

※画像をクリックするとAmazonに飛びます

書籍概要

AI(人工知能)技術はここ10年で飛躍的に進化を遂げ、現代社会においてはなくてはならないものとなった。 新たな技術の代表格であるAIは、しばしば次のような二面性をもって語られる。 ひとつは、主にナレッジワーカーとプロフェッショナルによって語られる、AIによる生産性と利便性向上を実現するユートピアの物語。もうひとつは、AIによって一部労働者の職が奪われ、社会的立場が危ぶまれるディストピアの物語。

しかし、マイクロソフトの最高技術責任者でもある著者は、そのどちらとも違う、3つ目の見方こそが、AIの本当の姿であり、価値であると考えている。 3つ目の見方とは、すべての人にとっての豊かさやチャンスを生み出し、厄介な社会問題を解決するツールとしてのAIである。

AI技術が利用されている分野は幅広い。今後の可能性も含めると、公衆衛生や宇宙計画、気候変動、教育など、社会を営む必須の分野においても、AIの技術はより生かされていく未来が予測される。 これらの分野において、現存している問題を解決し、より良い未来を描き出すためには、AI技術に対する人々の理解と協力が不可欠である。

すべての人の中にある漠然とした不安を取り除き、根強く息づいているディストピア物語に終止符を打つ。 そして、本当のAIの姿を認識した時に、AIは新たな時代における革新的かつ夢のような未来を描き出すことができる可能性を秘めている。 それは、アメリカンドリームと呼ぶにふさわしい存在感を持って、成功者を待っているのである。

この本をおすすめする読者層

アメリカンドリームというと、一部の読者にとっては「荒唐無稽な絵空事」のように聞こえるかもしれない。しかし、この書籍で述べられている未来は、実現不可能なSFの世界ではない。むしろ、眼前に迫った、現実感を伴った未来予想図である。 これからやってくる時代を生き抜くビジネスパーソンには、今後を予測し、準備し、時代の最先端を走り続けるための心算と学びが必要である。

この書籍で語られるアメリカンドリームは、夢追い人だけに見える幻影ではないし、エリート人材だけが享受しうるユートピアでもない。 世界中のビジネスパーソンが関わるべき、重要な未来なのである。

AI技術やデジタル革新に関わる人材はもちろん、これらの技術を利用して暮らしている現代人すべてに読んでほしい一冊である。

著者について

マイクロソフト社の最高技術責任者であり、エグゼクティブバイスプレジデント。コンピュータサイエンス分野の複数の博士号を持ち、様々な活動を行っている。