ツルハ、ニトリの決算、任天堂の大プロジェクトの発表に注目

先週の日本株相場は週前半に急落・急反発と大きく動いたあと、週後半は狭いレンジでのもみ合いに終始した。今週も基本的にはコロナ「第2波」への警戒と経済再開による景気回復期待との綱引きで揺れ動くことになるだろう。ただし、この相場の根底は、世界的な緩和マネーによる流動性相場であり、基本的にはリスクオンの地合いである。ドル円だけを見ていると分かりにくいが、現在の為替市場はドル全面安、その背景は「リスクオン」だからだ。商品市況を見ても原油も非鉄も買われている。こうした地合いで株式だけが「リスクオフ」という流れにはならないだろう。

もちろん、コロナ「第2波」は懸念材料だ。米国のいくつかの州ではコロナの感染が再拡大している。先週はアップルが4つの州で一部店舗を再び閉鎖したことが嫌気された。「第2波」への警戒が強まって下押しする場面では、日経平均の25日移動平均が下値のサポートになるか。日経平均の25日移動平均は先週末で2万1900円弱の水準まで上昇してきている。下押し場面で2万2000円を割るようなことがあれば、押し目買いを入れる目途となろう。

25日線がサポートラインにならず想定以上の深押しがあるとすれば、香港の問題等を契機として米中対立が先鋭化するなど地政学リスクが高まることか。

一方、アップサイドの要因もある。先日、トランプ米政権が景気てこ入れ策の一環として1兆ドル近いインフラ計画の提案を準備していると報じられたが、その続報が出てくることだ。

今週はマクロ指標で目立ったものがないが、個別企業のイベントに注目したい。まず3-5月期の決算発表がある。月曜日にツルハHD(3391)、木曜日にニトリHD(9843)が決算を発表する。とくにニトリはコロナ禍での勝ち組と見られて株価が高値追いとなっている。すでに営業利益は2020年3~5月期に370億円前後と、前年同期と比べ2割増えた模様と業績観測記事も出ているだけに、材料出尽くしとなるか、あるいは市場予想を超えるポジティブサプライズでさらに買われるか、注目度が高い。

決算発表以上に注目されるのが先週約12年ぶりに5万円台をつけた任天堂(7974)だ。24日には「別の大プロジェクト」の発表を行うと先日明らかにした。思惑買いが先行しそうだ。

今週の予想レンジは2万1900円~2万2700円とする。

広木隆 広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術

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