新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて私たちの日常生活は大きく変わりました。なかでもテレワークの増加によって住まい選びの考え方が激変しており不動産投資における有力エリアが広がる可能性を秘めています。Withコロナ時代で浮かび上がるエリアとは一体どういったところなのでしょうか。今回はテレワーク増加に伴う不動産需要エリアについて解説します。

大手企業のほとんどがテレワークを実施している

Withコロナ時代,エリア
(画像=maxsattana/stock.adobe.com)

新型コロナウイルス感染症拡大を受けて日本政府は2020年4月7日に緊急事態宣言を発出、不要不急の外出自粛や在宅勤務推奨、学校の休校などが実施されました。その結果、2020年6月時点でわが国では感染症の拡大をかなり抑え込むことができています。しかし世界的にはまだまだ流行が収束していないのが現状です。

2020年5月25日の47都道府県すべての緊急事態宣言解除後も以前のような日常への回帰は望めず第2波、第3波を警戒しつつ「新たな日常」が始まりつつあります。最大の変化の一つがテレワークの定着です。2020年4月に一般社団法人日本経済団体連合が行った「緊急事態宣言の発令に伴う新型コロナウイルス感染症拡大防止策各社の対応に関するフォローアップ調査」によると97.8%(397社)の企業がテレワークを「導入している」と回答しています。

経団連会員の大企業が中心ですが大半の企業でテレワークが導入されていることが分かるでしょう。しかもそのうち多くの企業が緊急事態宣言解除後もテレワークを継続する方針を打ち出しています。一方2020年5月に公益財団法人日本生産性本部が公表した「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」では、「今後もテレワークを行いたいか」との問いに6割以上の人が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えているのです。

賃貸マンションの立地先にも広がりが出てくる

今後、新型コロナウイルス感染症をある程度抑え込むことができたとしてもワクチンが世界中に広がって完全に駆逐できるまでには相当な時間を要します。終息までは感染症に警戒しながら「Withコロナ」という新たな日常を継続することになるでしょう。それらを踏まえるとビジネス界ではテレワークが定着し働く人の住まい選びが大きく変わる可能性があります。

従来は、都心やその近くにある会社に勤務するために「都心近い」「狭い」「高い」といった住まいを選択せざるを得ませんでした。しかし在宅勤務が当たり前になれば勤務先からの時間的かつ物理的距離の呪縛から解放されます。週に1~2度程度の出社であれば通勤時間などをあまり気にせずに住まいを選べる可能性が高まるでしょう。これらは「持ち家」「賃貸」でもそう変わりません。

そのため不動産投資としての賃貸マンションの立地にも広がりが出てくる可能性があるのです。これまでは首都圏でいえば東京23区やその周辺でないと賃貸マンションは入居者を確保しにくく家賃も安い傾向でした。しかしそこから外側にも収益性の高い賃貸マンションが立地できる可能性が広がってくるのではないでしょうか。

都心から少し離れたターミナル駅が投資先に

都心からの公共交通機関の乗車時間が1時間半以上かかるところは難しいかもしれません。しかし30分~1時間程度のターミナル駅であれば賃貸マンションの入居者を十分に確保できるようになる可能性があります。例えばターミナル駅であれば都心に仕事で出かけるのにも便利です。逆に平日、休日にかかわらず海や山などに出かけるなどレジャーも楽しみやすくなるのではないでしょうか。

ターミナル駅であれば当然ながら大規模な商業施設などが駅周辺にそろっているため、賃貸マンション居住者が求めるショッピング施設や飲食施設も充実しているはずです。そうしたエリアであれば都心やその周辺に比べて地価も安く投資用の物件も比較的低価格で供給される可能性があります。

投資額を20年以内に回収できる魅力的エリア

民間調査機関の東京カンテイでは、「購入価格を何年分の賃料で回収できるか」を計算した新築マンションPERを調査しています。例えばPERが20であれば賃料収入20年分で購入価格が回収可能ということです。PERの数値が小さいほど家賃に比べて価格が安くて割安感があり反対にPERの数値が大きいと割高になります。ちなみに首都圏における2019年のPER平均は24.36です。

首都圏の中でも新築マンションPERが一番低くて割安感が最もあったのは、京王相模原線の京王多摩センター駅の15.96でした。2位はJR中央線の八王子駅の16.67、3位がJR中央線の国分寺駅の16.95です。割安感があって投資先として魅力のあるエリアは都心から少し離れたターミナル駅が多くなっています。

従来、新築マンションの持ち家立地先として注目されてきたエリアです。しかし今後テレワークが本格的に定着してくれば賃貸マンションの立地先としての注目度が高まり不動産投資先の有力エリアになっていくのではないでしょうか。コロナショックで不動産投資エリアの需要にも大きな変化が起きそうです。(提供:YANUSY

【あなたにオススメ YANUSY】
副業ブームの日本!サラリーマン大家になるなら覚えておきたいこと
2019年以降の不動産投資は「コミュニティ」が欠かせない
賃貸業界の黒船になるか。インド発のOYOの実態
不動産所得での節税に欠かせない必要経費の知識
賃貸管理上でのトラブル対応術とは?