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2020年1月28日配信記事より

「クルーズ旅行を通じて、すべてのお客様に初めての感動体験を」を理念に置き、創業以来15期に渡ってクルーズ旅行を専門に扱っている、株式会社ベストワンドットコム。2018年4月に東証マザーズに上場も果たした同社取締役 経営管理本部長 兼 経営企画部長の小川隆生氏にお話を伺いました。

最初から目標は「起業」、1社目のリクルートから実際に起業するまで

― 新卒でリクルートに入社されていますが、なぜリクルートを選んだのですか?

元々起業をしたいと思っていたんです。でも、いきなりやるより経験を積んだり人との繋がりを作ったりしてから起業したいなと思って、まずは就職しようと思いました。

リクルートを選んだのは、営業や企画のスキルが身に付くだろうというのはもちろん、退職してもつながりが切れなさそうだなと思ったからですね。実際、辞めてから何年も経った今でも、当時のリクルートで関わりのあった人との交流は続いています。

実は、リクルート退職時に起業する計画があったのですが、これが直前でダメになってしまって。なので、もう1度他の企業へ転職することにしました。

― リクルートの次は、ベンチャー・リンクへ行かれていますね。ここでは外食事業の担当だったそうですが、なぜ外食を選んだのですか?

自分で料理屋をやりたいなという気持ちが少しあったんですよね。 それで、ベンチャー・リンクはFCの加盟開発とかもやっていて、各地の銀行と提携して営業セミナーを結構やっていたので、話を聞くために行ってみたのが最初です。

自分としては、営業セミナーを聞きに行くつもりじゃなくて、料理屋をやるにあたって必要なことが聞けるかな?という程度の気持ちだったのですが。でも実際セミナーに行ってみたら、ベンチャー・リンクそのものに興味が湧いて、起業する予定がなくなって当面のやることがなくなってしまったし、興味のある外食分野の経験が積めるのは良いなと思って、期間限定で入るつもりで人事担当者にメールを送って、入社が決まりました。

入社後、ベンチャー・リンクでは、スーパーバイジングを担当しました。

― 思っていた経験は積めましたか?

そうですね。楽しかったです。大変なことももちろん多かったですけどね。

飲食店の出店計画って結構大変で。立地選定から運営の仕方まで、1度オープンしたら場所を動かすことが出来ないから、事前に考えることが多いんですよ。それでも開いてみないと分からないこともあるので、確実性を高められるだけ高めたトライ&エラーを繰り返す感じでしたね。それはどの仕事も一緒かもしれませんけれど。

― その後は、満を持して起業されますよね。どういうお仕事をされていたんですか?

このとき、知り合いが農業関連のコンサルタントをしていまして、話を聞いていたら農業って色々な課題があるなと思ったんですよ。解決の糸口もありそうだったし、興味もあったので、1回軸足を置いてみるのも悪くないなと思いました。それで会社を作って、最初は関東近県の農家を足で回って野菜を提供してくれるところを探して、集まった農作物をWEBで販売し、自分たちで箱に詰めて発送するということをしていました。

自分の事業は4年やったんですけど、この間に千葉でレストランと地場野菜の八百屋を併設した施設をオープンしました。起業して1年半くらい経ったころですね。

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― 念願の飲食店オープンですね。

そうですね。念願でした。とはいえ、今は都内でやれば良かったかなと思っています。ベンチャー・リンクで経験した、立地を動かせないことの難しさがここでもあったんです。

経営が回るのは回るんですけど、出た利益でひたすら運営していく感じでしたし、野菜は野菜で飲食店に卸したりECで売ったりして展開はしていくんですけど、それ以上のスケールのさせ方が当時は分からなかったんですよね。

ファイナンスの頭が全然なくて、借り入れもしていないし出資も受けていない。そうなると、大きくなりようがないですよね。このままだと、地方で1つ店やってるだけで終わるなと思ってしまって、1回閉めようとなりました。

もう一度会社員に、ベストワンドットコムへ入社

― その後に、ベストワンドットコムへ入社されていますが、キッカケは何だったのですか?

ずっと持ち続けていた「起業欲」みたいなものは一旦自分でやってみて満たされたなと思っていたのですが、やってみるとさらに違う経験をして自分のキャリアの幅を広げたいなと思うようになったんです。

あとは、限りなく0から1を創って、さらにどんどん拡大していけるような経験もしてみたかった。自分の事業でそれが出来ればよかったですけど、そこに至るにはまだもう少し経験が足りないなと思っていました。

もう1度どこかの会社に勤めるということには何の抵抗もなかったですし、ご縁もあって当時社員数5~6人くらいの規模だったベストワンドットコムに入社しました。

― 経営企画部長になり、いまでは経営管理本部長と兼務してCFOの仕事もされていますがこのキャリアに至ったのはどんな経緯なのでしょうか?特にファイナンスが専門ではなかったわけですよね。

そうですね。最初は10人以下の会社でしたし何でもやるという感じではありました。この規模感だとどこでもそうだと思いますけどね。それで、ビジネス面は誰がやる?ってなったときに僕かなというので最初は経営管理をやっていたという感じです。

最初はクルーズのことを何も知らなかったですし、ニッチな専門分野なので勉強しながらも今までの自分のビジネス経験を掛け合わせる形で仕事をしていきました。

その後、入社から2年経った頃くらいに経営管理本部長の肩書もつきました。入社当初に最初の資金調達をしていて、そうなるとIPOとかも視野に入ってくるわけでファイナンスの担当者も必要だったんですよね。それを僕がやることになったのは、自分自身やりたかったからですね。

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CFO×ジェネラリスト、経験の掛け合わせで新たな可能性を追求

― ファイナンスは今までのご経歴にはないキャリアですが、どうしてやりたいと思ったのですか?

今までのキャリアが営業だったりマーケティングだったり、汎用性はあるものの専門性が高いとは言えないものばかりだったんですよね。もちろん専門性もあると思うのですが、定義が難しいというか。

その点、ファイナンスは専門性が高い仕事というのが誰が見ても分かると思っていて、ただその分、その分野しか経験していない人も多くいるかもしれないと。であれば、僕の経験して来たことを踏まえて、専門分野であるファイナンスの担当になれたら良い化学反応が生まれるかなと思ったんです。それは面白そうだなと思いまして。

― CFOとしてIPOも経験しましたよね。

そうですね。3年がかりくらいの大プロジェクトでしたし、責任者として経験させてもらったことで、かなり骨太なキャリアを持つことが出来たかなと思っています。今は、上場会社としてのコーポレートファイナンスって何だろうというところを深めていきたいなと思っていますね。

スペシャリストを目的地に置いたとき、出来ることは何でもある

― 最後に、Manegy読者へのアドバイスをお願いします。

もし、読者の方でCFOになりたいと思っている方がいたらベンチャー企業に行くのが1番早い方法だと思います。そこでさらにファイナンスのことだけやりますというのではなくて、雑多に何でも経験する。

ベンチャーって日々ビジネスが動くし、事業と同時に会社組織も創っていくわけじゃないですか。そのスピード感だと、投げられたボールを数多く拾って経験出来た方が自分のキャリアのプラスになると思うんです。

そして信頼されていざCFOになったときに、ファイナンス以外の様々なキャリアが自分に身に付いているはずです。それは、目標に対して一見遠回りに思えるかもしれませんが結果的に最短であると僕は思います。是非雑多に色々と経験してみて欲しいですね。

― CFOというと専門性が高く、資格も必要なのではと思ってしまいますがある程度の専門知識があれば、そこに過去のキャリアをくっつけることでオンリーワンの存在になれるのかもしれませんね。雑多に経験してそれを自分のストーリーとして語られる小川さんのお話、大変勉強になりました。

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【プロフィール】
小川 隆生(おがわたかお)株式会社ベストワンドットコム 取締役 経営管理本部長 兼 経営企画部長

平成17年4月株式会社リクルート(現株式会社リクルートホールディングス)入社
平成19年7月株式会社ベンチャー・リンク入社
平成21年1月株式会社メディアキッチン設立 代表取締役
平成25年1月株式会社幕末(現イシン株式会社)入社
平成26年2月当社入社
平成26年8月当社取締役 経営企画部長
平成28年7月株式会社ファイブスタークルーズ取締役(現任)
平成28年10月当社取締役 経営管理本部長 兼 経営企画部長(現任)