この記事は2026年8月14日にSBI証券で公開された「AI・半導体だけではない!?株価上昇期待の好決算銘柄」を一部編集し、転載したものです。
目次
AI・半導体だけではない!?株価上昇期待の好決算銘柄
今回の「日本株投資戦略」では、決算発表シーズン終了後の東京株式市場で株高が期待される好決算銘柄の選別を試みました。東証プライム市場で決算発表を終了した銘柄の中から、前年同期比の増益率が高く、今後も高成長が期待される銘柄をご紹介したいと思います。スクリーニング条件の詳細は図表の脚注に示しました。
予想外に広がりを見せる好決算銘柄、物色対象も拡大?
2026年4~6月期の決算発表シーズンは8/14(金)まででほぼ終了します。上場企業の業績は好調と見られます。8/10(月)付の日本経済新聞によると、東証プライム市場上場銘柄(3月期決算・956社)の純利益は前年同期比68%増となっています。同報道によると全体の約7割の企業が増益となっています。
8/12(水)の東京株式市場では、TOPIXが過去最高値を更新し、8/13(木)も続伸しました。好業績銘柄が広範囲に及んでいるということは、物色対象が拡大する可能性があることを示しています。時価総額上位の自動車株や銀行株にも好決算が目立っていることが、TOPIXの高値更新につながっているとみられます。
★スクリーニング条件
(1)東証プライム市場上場の3月決算銘柄
(2)時価総額5,000億円以上
(3)予想EPSを公表するアナリストが2名以上(Bloombergベース)
(4)7/21(火)~8/10(月)に決算発表
(5)7/31付および8/7付の「日本株投資戦略」でご紹介しなかった銘柄
(6)2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月期)純利益が事前の市場予想純利益を10%超上回っている。
(7)2027年3月期第1四半期純利益及び経常利益がともに、前年同期比で黒字転換、または50%超の増益
(8)8/12(水)時点の今期(2027年3月期)、来期(2028年3月期)市場予想純利益(Bloombergコンセンサス)がともに前期比10%超の増益予想、かつ6/30(火)時点の予想を上回る
(9)来期(2028年3月期)市場予想EPSベースのPERが30倍未満
(10)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く(空売り規制銘柄は除きません)
掲載銘柄は上記条件をすべて満たしています。掲載の順番は2027年3月期第1四半期の純増益率(前年同期比)が大きい順(黒字転換を優先)です。
一部掲載銘柄を解説!
古河電気工業(5801)~「光を作る」から「光を運ぶ」までを一貫して手掛ける会社
◎データセンタービジネスの上流から下流までを事業領域に
電線・非鉄の大手企業です。2027年3月期から事業セグメントを再編しました。売上高・営業利益の構成比(ともに2026年3月期・消去前)は、(1)「自動車電装システム」が売上高の26%・営業利益の41%、(2)光ファイバーを含む「光ソリューション」が同14%・17%、(3)光通信関連製品を含む「情報コンポーネント」が同14%・25%、(4)電力、産業電線・機器の「エネルギーインフラ」が同10%・16%、(5)「メタルソリューション」が同27%・5%です。
投資家にとって関心の高いデータセンター関連は、(2)と(3)です。電気信号を光信号に変える半導体レーザーチップは(3)に、光の通り道となる光ファイバーや、光ファイバー同士をつなぐ継手のような役割を担うコネクターなどは(2)に含まれます。CPUやGPUを冷却する水冷モジュールも(3)に含まれます。データセンター関連設備の上流から下流まで、幅広い商材を有している点が同社の強みといえます。
2001年に米ルーセント・テクノロジーズから約2,800億円で買収した光ファイバー製造子会社「OFS」については、すでに巨額ののれん代を償却しており、買収に伴うリスクは低下しています。OFSは米国の大規模クラウド事業者と古くから取引関係を有しています。米国企業をグループ内に有することは、国内の競合企業と比べた際の強みの一つといえます。
◎引き続き「AI・データセンター関連」として注目される一方、利益率の改善が課題
2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月期)は、売上高3,652億2,100万円(前年同期比24.3%増)、営業利益254億5,700万円(同205.4%増)と、大幅な増収・増益となりました。データセンター関連事業である前述の「光ソリューション」と「情報コンポーネント」が、大幅な増収・増益となりました。会社側はこれを受け、2027年3月期の会社計画について、売上高を700億円上方修正して1兆5,300億円(前期比17.0%増)、営業利益を280億円上方修正して1,230億円(同92.6%増)としました。データセンター関連製品の売上増が見込まれることから、「光ソリューション」と「情報コンポーネント」の営業利益予想が引き上げられました。
業績は好調であり、引き続きAI・データセンター関連銘柄として注目されそうです。米子会社「OFS」を傘下に持ち、米国で光源から光ファイバーまでを一貫して供給できる体制を有していることも強みとみられます。ただ、売上高営業利益率(2026年4月~6月期)を比較すると、フジクラが26.1%、住友電工が7.3%であるのに対し、同社は7.0%と、3社の中で最も低くなっています。「AIインフラ企業」としては、フジクラが「別次元」の収益性を示している一方、古河電気工業は利益率の低いセグメントの存在が過大に意識され、予想PERの面ではフジクラに劣後するリスクがありそうです。
三菱重工業(7011)~日本を代表する「防衛関連銘柄」の1社。データセンター増設・電力ひっ迫も追い風
◎売上収益で最大なのは、GTCCなどを中心とするエナジー事業
三菱グループの重工メーカーです。売上収益の構成比(2026年3月期・「全社又は消去」前)で最も大きいセグメントは「エナジー」(41%)で、火力発電、再生可能エネルギー、原子力といった幅広いエネルギーインフラを提供しています。「航空・防衛・宇宙」が売上収益に占める割合は、全体の28%(2026年3月期)です。
「エナジー」の中心となるのが、GTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント)事業です。石油・石炭火力からの転換や、再生可能エネルギーの負荷変動を吸収する役割への期待、データセンターの増設に伴う電力需要の拡大などを背景に、GTCCへの需要が高まっています。防衛分野では、戦闘機や潜水艦、飛しょう体などを製造しています。また、全社売上収益の20%が防衛省向けです(2026年3月期)。
◎「エナジー」「航空・防衛・宇宙」ともに成長期待が大きい
2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月期)の売上収益は1兆1,942億円(前年同期比15.5%増)、本業のもうけを示す事業利益は1,596億4,500万円(同65.1%増)となりました。GTCC事業の好調を背景に、エナジー事業が増収増益となったことが寄与しました。期初に公表された収益見通しに変更はありません。2027年3月期の会社計画は、売上収益5兆4千億円(前期比8.6%増)、事業利益5,400億円(同24.9%増)です。ただし、受注高の見通しは、「エナジー」と「航空・防衛・宇宙」でそれぞれ1,000億円、計2,000億円引き上げられ、7兆円(前期比8.5%減)となりました。受注残高は約14兆1千億円となり、2026年3月期の売上収益(4兆9,741億円)の約2.8年分に達しました。
同じ火力発電でも、ガス火力は石油・石炭火力に比べて二酸化炭素排出量が少なく、再生可能エネルギーよりも安定して発電できることから、データセンター向けの需要が増えています。会社側は、大型ガスタービンの生産能力を2030年度に2024年度比で2倍に引き上げる見込みとしており、「エナジー」は中期的にも成長が見込めそうです。
さらに、「航空・防衛・宇宙」も事業拡大が期待できそうです。政府は4/21(火)に、「防衛装備移転三原則」(防衛装備品の輸出ルール)と、その運用指針を一部改正しました。日本企業が生産した武器の輸出を非戦闘目的に限定する「5類型」を撤廃し、戦闘機などの殺傷能力のある武器の輸出を原則容認することになりました。日本の防衛産業は、これまで販売先が主に防衛省に限定されてきただけに、防衛・宇宙分野の販売先が広がる可能性が高まっています。
現在の防衛力整備計画の期間(2023年度~2027年度)のうち、2023年度~2026年度の防衛予算(契約ベース)は、年平均約8兆8,368億円でした。2027年度の防衛費概算要求額は、これを上回る過去最大の8兆9,000億円となりそうです。それでも、名目GDPが上昇傾向にある中(整備計画の基準となる2022年度は591兆円→2025年度は669兆円)、防衛予算をGDP比2%の水準にするには、当初予算の増額に加え、関連経費や補正予算などを積み上げ、現在よりも多額の防衛予算を確保する必要がありそうです。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。






