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極端な悲観論は後退し、ダウ平均は2万5,000~3万ドルで推移

大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト / 壁谷 洋和
週刊金融財政事情 2020年8月3日号

 世界の株式市場は7月も総じて良好な推移をたどった。世界各地で新型コロナウイルスの感染が再拡大する傾向を見せたが、市場心理が極端に悲観に傾くことはなかった。米国ではナスダック総合指数が最高値を更新し、中国では上海総合指数が一時はおよそ2年半ぶりの高値を付けるなど、むしろ一部で投資家のマインドは好転に向かった。

 再び経済活動に制限が加わる可能性は現時点で限定的とみられ、それを見透かした市場は、堅調な値動きを続けている印象である。「ウィズコロナ」の下での新しい行動様式とともに、経済活動は再開・活発化へとかじが切られている。確かに、感染再拡大の状況から目を背けることはできない。しかし、今のところ医療体制の崩壊が意識されるほどの危機的な状況にはなく、足元では感染第1波の時と比べて、死者数や重症患者数は抑制されている。ワクチン開発が順調な進展を見せていることも心強い(図表)。

 米国では、主に企業業績に対して、市場参加者の目線が切り上がっていることから、4~6月期決算の内容次第では株価が伸び悩むことも想定される。しかし、年後半における経済正常化の進展を前提にするなら、それは相場の踊り場と位置付けられるであろう。米国では追加の財政出動が検討されている模様であり、感染拡大ペースを現状程度にコントロール可能な状態に保ちつつ、経済を正常化に近づけることができれば、年末に向けた着実なファンダメンタルズの改善と株価の上昇が十分に期待できると考える。

 急ピッチで上昇してきた中国株は、短期的にはその反動も予想されるが、大幅な調整までは想定されない。中国経済は政策に支えられ、4~6月期の実質GDPが前年同期比3.2%の成長を遂げており、回復の足取りは確かなものとなりつつあるためだ。

 このようなグローバルの株式市場の環境を踏まえると、目先、必要以上に株価が下押しした場面では、押し目買いのスタンスが正当化されよう。ただ、足元では感染拡大に加えて、米中関係悪化のリスクも意識され、「慎重」と「楽観」のバランスが求められる環境である。個別銘柄の選別物色が重要であることは言うまでもなく、相場の急変動にも機動的に対応できるよう心掛けたい。年末に向けての株価推移のレンジとしては、日経平均株価で2万1,000~2万6,000円、ダウ平均株価で2万5,000~3万ドルを想定している。

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(提供:きんざいOnlineより)