働き方改革の推進に加え、コロナ禍によって、テレワーク(リモートワーク)を取り入れる企業が急速に増えている。しかし、出勤しての仕事とは色々と異なるため、仕事の進め方や相手への気遣いの仕方に関して戸惑う声も。
そこでテレワーク時代の新しいビジネス作法について、「品格」「モチベーション」「スキル」をベースとする三位一体教育の第一人者である古谷治子氏にアドバイスをいただく(取材・構成 塚田有香)。
本稿は『THE21』2020年8月号より一部抜粋・編集したものです。
相手より先にログイン&挨拶を
テレワークの拡大により、営業活動も「電話でアポを取って訪問する」という従来の手法から、「訪問しない営業」への切り替えが求められています。
弊社では、既存のお客様に対してはメールを送り、リモートでお会いしたいとお願いしています。その際は、必ずメリットを伝えることが重要です。リモートならお互いに交通費や移動時間、会議室の確保といった無駄な労力を省けることを伝えれば、お客様も押しつけがましく感じません。
日時が決まったら、自分が主催者となりミーティングをセットします。お客様には事前にビデオ会議システムの種類とURL、アクセスの方法をメールで通知します。説明用の資料も当日リモートの画面上でお渡しすると伝えますが、中には「紙の資料が欲しい」というお客様もいます。その場合は事前に郵送するなど、ご要望に合わせた柔軟な対応が必要です。
所要時間と参加人数を事前に伝えることも大事です。「当日は40分頂戴します」とあらかじめ伝えれば、相手もスケジュールが組みやすくなります。また「弊社からは、私の上司と技術担当を含め3人が参加します」などと伝えれば、「一対一の気軽な面談のつもりだったのに、こんなに大勢いるのか」と相手を驚かせることもありません。
リモートでも初対面なら丁寧すぎるくらいでOK
ミーティング当日は早めにアクセスし、お客様を迎えるのがマナーです。そして「第一声は自分から」。「初めまして」「先日はありがとうございました」など、相手より先に笑顔で挨拶しましょう。リモートでも対面でも「挨拶は先手必勝」です。
服装については、社内のリモート会議などではラフな格好でもいい場合もあるようです。
しかし社外の人が相手の場合、第一印象は重要です。私の持論は、「購買は感情で決まり、理屈で裏づけされる」。どんな場面でも、「感じが悪いな」と思った相手からものを買いたいとは思いません。
よって初対面のお客様には、リモートでもスーツにネクタイで臨むべきです。第一印象を良くするためには、何事も丁寧すぎるくらいで構いません。もちろん一度顔を合わせて、相手がラフな格好だったら、次回からはこちらもカジュアルな服装にしてもいいでしょう。
リモートでは名刺交換ができないので、お礼のメールを送る際には、「先ほどはありがとうございました。改めまして○○社××部の山田です」と念のため書き添えて、署名を忘れないようにしましょう。
また、名刺を渡さないからこそ、口頭で名前を伝える時は滑舌よく話しましょう。リモートでは音声が聞き取りにくいことがあるので、「ふ・る・や、と申します」と一字一句はっきりと発音してください。
カフェなどからリモート会議に出席する人がいますが、BGMや周囲の会話が騒々しく、音声が聞きとりにくいことがあります。できるだけ自宅やオフィスで個室を用意し、静かな環境で参加するのがベストです。
また、背景が雑然としていると相手も気が散るので、自宅ならシンプルな壁の前などを選び、家族が後ろを横切ったりしないように協力してもらうことも必要です。
リモートでも対面と同様、「自分が相手にどう見えているか」を常に意識してください。
古谷治子(マネジメントサポートグループ代表)
(『THE21オンライン』2020年07月10日 公開)
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